法の目をかいくぐる悪質な業者も
なぜ、サロンでのセルフホワイトニングをする人が多いのでしょうか?
相談にも「(施術の効果の)期待ができなかった」というものがありますが、歯医者さんで行うホワイトニングとは違い、サロンで行うセルフで使える薬剤は、薬機法の定めもあり、効果の薄いものを使うことになるとのことです。
それでも、利用者が多いことについて、同センターは「サロンですと、手軽に安くできるメリットがあります」といいます。しかし気をつけなくてはならないことは、利用者の多いところには、多く業者も参入してきますが、そのなかに悪質業者も紛れ込んでくることです。
昨年、同センターから「セルフエステ」の契約トラブルに関する注意喚起もありましたが、ここには法規制の網の目をかいくぐっている業者の存在も感じています。
相談事例をみても「今日契約する人だけの特典」や、予約する時には説明がないにもかかわらず、勧誘現場で「体験のみの場合は料金が発生する」などと来訪者をせかして契約させるような手法をとっています。しかしクーリング・オフなどができない。こうしたところに、トラブル増加の背景をみます。
個人的には、サロンでは場所と機材を提供していますので、間接的には消費者にサービスを提供しているともいえるので、「役務」にあたる可能性もあるのではないかと思ってしまいますが、現状では難しいようです。特商法の適用が難しいならば、トラブルが増加していることもありますので、消費者保護の観点から、「セルフ」契約に関して、何かしらの法改正などの必要性も出てきていると考えます。
ただし、同センターは個別のケースによるとしながらも、アポイントメントセールスに該当すれば、クーリング・オフが適用される可能性もあるといいます。
無料体験の広告に「有料コースの勧誘をする」という記述がある場合は難しいかもしれませんが、それがなかった場合、サロンでいきなり勧誘をされる形になりますので、アポイントメントセールスに該当し「クーリング・オフ」の適用も考えられるということです。
そのために大事になってくるのは、広告画面や申し込み画面をスクリーンショットなどして、証拠となる画像を保存しておくことです。
またセルフエステのケースでは「無料期間中に解約可能といわれて契約したのに、解約すると違約金が発生する」と言われたという相談もあり、事前の広告や説明と異なることもあります。契約する前には書面で内容をしっかりと確認するとともに、困ったときには諦めずに消費者ホットライン「188(いやや)」に連絡して、居住地の消費者センターに相談をすることも必要です。
【プロフィール】
多田文明(ただ・ふみあき)/詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。『ついていったらこうなった』(彩図社)はテレビ番組化。また、旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。近著に「人の心を操る 悪の心理テクニック(イースト・プレス)がある。