閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
キャリア
難関大「2025年現役進学」高校ランキング

京大、北大、東北大、九州大…「地方の旧帝大」に首都圏出身の進学者が急増しているのはなぜか? 広がる首都圏と地方の学歴格差の実態

首都圏出身者の割合が増えた理由

 では、首都圏にある東大はどうか。予備校の代々木ゼミナールがホームページ上で公開する「主要大学入試データ」で東大の「出身地別割合」の項目を見ると、次のように書かれている。

〈前期日程合格者の出身地割合の推移をみると、2025年度の関東(1都6県)出身者の割合は61.7%でした。年度によって多少の増減はありますが、概ね56%〜60%の範囲で推移しています。関東の増加とは対照的に、近畿も含めたその他地区の割合はこの20年間で14.3%も減少(52.6%→38.3%)しています〉

 東大でも首都圏勢がシェアを高め、地方勢が減る傾向にあるようだ。なぜこのような状況になっているのか。

「地方の人口減少が背景にありますが、首都圏の受験熱が高まりすぎているのが、大きな理由の一つと考えられます。首都圏で中学受験して中高一貫校に進学する生徒たちの中では、偏差値(日能研)50から55くらいの中堅層でも、大学を受験する段階で、学力が地方のトップ校の生徒と同水準に達すると言われています。それくらい差が広がっている。

 首都圏のトップ層は東大を目指すので、東大は難易度が上がっていて、そこへ食い込めない首都圏勢は『東大や一橋大、東京科学大は無理だが、模試の判定を見ると、地方旧帝大なら受かりそう』と判断する。昔は地方の高校からでも、公立進学校のトップ層なら、“一浪すればなんとか東大の合格圏に入れる”ものでしたが、今は模試の判定などを見て、目指そうという気持ちを失ってしまうケースもあるようです」(伊藤氏)

首都圏出身者が全国の大学に散らばる傾向

 首都圏と地方では総じて所得格差が広がっており、教育にかけられる金額も違うと考えられることから、得られる情報や受験ノウハウにも差が出るといった事情もあるだろう。

「今は一般入試の比率が5割を切り、総合型選抜や学校推薦型選抜が増えています。都内の高校ではそれらに対応した『探求学習』を進めている学校が多い一方、地方だとそうした変化にキャッチアップできていない学校が多いという印象です」(伊藤氏)

 首都圏と地方の学歴格差は今後も広がっていくと見られている。文科省が2025年5月に公開した「各都道府県における高等教育の現状に関する調査研究」で示された、都道府県ごとの“2040年の大学進学率の推計”を見ると、大学進学率がもっとも高いと推計された東京都が80.5%であるのに対し、もっとも低い山口県は38.5%と2倍以上の差が出てくる。東京に次いで高いのは京都で75.6%、奈良69.1%、大阪69.0%と続き、神奈川、埼玉、千葉はみな60%を超えている。一方、山口に次いで低いのは宮崎41.2%で、鹿児島41.6%、岩手42.3%、熊本43.2%と続く。九州と東北は40%台がほとんどである。

 上記データからも、首都圏勢が全国の大学へ散らばっていく傾向はさらに進むと予想される。しかも目指すのは旧帝大だけではない。地方国公立大の医学部にも、すでに首都圏勢が多く進学している。

次のページ:地方国公立大の医学部で顕在化した問題

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。