気がつけば「億」を超えていた
この基準で選んだ銘柄に分散投資すれば長い目で見て大きく負けることはないと、キリンさんは約10年の投資歴のなかで“確信”したという。誰かの手法をそのまま真似るのではなく、多くの知識のなかから「自分ならどれでいくか」を取捨選択し、自分なりの勝ちパターンを見出したわけだ。
そうした投資哲学を確立し、着実に資産を増やしていったキリンさん。2022年頃、ついに資産1億円の壁を突破するが、本人に「億り人になった」という特別な感慨はなかったという。
「正直なところ、『気がつけば超えていた』という感覚。特にそこを目指していたわけではありませんでした。私の成功の大きな要因は、会社員としての安定した収入による『入金力』だと思っています。最初は150万円という少額から始め、損をすれば給料で補填し、投資に慣れてきたら数百万円単位で資金を追加していきました。100万円を元手に億を目指すのではなく、本業の収入というしっかりとした土台があったからこそ、ここまで来られたのだと思います。何よりも重要なのは、失敗しても市場から退場せずに『続けること』ですね」
資産1億円超えを達成したいまも、会社員を辞めるという選択肢は(少なくとも現時点では)ないと断言する。その最大の理由は「精神的な安定」だ。
「会社員としても人並みに頑張り、管理職として安定した収入を得られることによる『精神的な安定』こそが、兼業投資家であることの最大のメリットといえます。仮に相場がクラッシュして資産が一時的に目減りしても、生活が揺らがないという余裕が、日々の株価の動きに一喜一憂しない冷静な投資判断を可能にしてくれます。焦って売買する必要がないのです。心に余裕を持って市場と向き合うことが、結果的に良いパフォーマンスにつながると信じています」
そう語るキリンさんは現在、具体的にどのような銘柄に注目しているのか。関連記事『《億り人・キリンさんが厳選した安心の5銘柄》継続的成長で上場後に株価5倍、8倍に! さらに伸びる期待の中長期投資向きお宝株 PER分析で「理想的な銘柄」も』で詳しく解説している。
【プロフィール】
キリン/神戸投資勉強会を主催する、一般企業勤務の兼業投資家。150万円の資金で株式投資を始めて10年で億り人に。雑誌・ラジオ・Webなどで精力的に情報発信をしている。主催する勉強会では上場企業のIR担当や経営者を招き、IRセミナーや銘柄・市況ディスカッションなど、投資初心者も歓迎の学びの場を提供している。X(旧Twitter)アカウント:@yudu1105
取材・文/小野雅彦