留学生が多くなったのは日本の少子化も影響(写真:イメージマート)
激しい学歴競争、厳しい就職難が常態化し、経済格差が広がる中国社会。シリーズ「中国人留学生だらけの日本の大学院」、第1回記事では、中国での就職活動に有利になることから、日本の大学院への留学を希望する中国人が増えていることを紹介した。第2回では中国人留学生を受け入れざるをえない日本の大学事情と、大学院進学を斡旋する日本語学校や予備校の実態についてレポートする。【全4回の第2回。第1回から読む】
減少する日本人大学院生、頼みは中国人留学生
「中国人院生増加の背景には、そもそも少子化に伴う日本人大学院生の減少がある」と語るのは、私立大学で中国人院生の指導をしている准教授・Aさん(40代女性)だ。
「“なぜ日本の大学院に中国人留学生ばかり合格させるのか”という質問は的外れと言えます。そもそも、いま大学院入試を受ける学生のほとんどが中国人。最近では東南アジア系も増えています。日本では少子化が深刻化し、私立大学は学部も定員割れするところが目立ちます。とくに文系学部は新卒で就職する文化が根強く、『文系修士号・文系博士号』の社会的評価が海外よりも低いため、日本人学生だけでは大学院の定員が埋まらないのが実情です。
文科省は収容定員に基づいて補助金を配分しているため、大学は経営的にも定員割れを避けたいという背景もある。ちなみに、今年から文科省と東京大学などがAI(人工知能)などの先端分野の人材を確保するために、インドからの大学院生のリクルート活動を活発化させると発表しました。300人程度の留学費用を支援し、2028年までに留学生を倍増させるとしています。中国人院生だけでなく、今後はさらに南アジア系の留学生も増加するでしょう」(Aさん)