チームの独走でグッズ売上も好調に(右は藤川監督)
2リーグ制以降、歴代最速Vだった1990年の巨人(9月8日)を上回るスピードで優勝に王手をかけた阪神。関西大学の宮本勝浩名誉教授が試算した経済効果でも、2年前の「アレ」を上回る約1084億4513万円と弾き出されている。
その要因のひとつが、阪神タイガースグッズの売上増だ。多くの阪神グッズを手掛ける「ジャープ産業」を子会社化したミズノの2年前の日本一の時にあたる2023年度の連結決算において、最終利益が44.5%増の143億円で過去最高を更新。ミズノはレプリカユニフォームも手掛けており、水野明人社長も「阪神タイガースが日本一となり、関連グッズが収入を押し上げた」とコメントしていた。
阪神グッズは12球団一のアイテム数を誇る。レプリカユニフォームや応援タオルのほか、日用品、レジャー用品、ペット用品、アウトドア用品、食品などに展開し、そのすべてに虎ロゴがついている。
「ファミリアやコンバースなどとのコラボ商品も大人気です。今年は球団創設90周年の記念グッズも好調で、90周年ロゴがついたレプリカユニフォームを保存用に購入するファンも少なくない」(球団職員)
宮本名誉教授は経済効果が押し上げられた理由として、「今年から就任した藤川球児監督の新体制や佐藤輝明はじめ若手選手の活躍により、新鮮味が増したことが要因のひとつと考えられます」としているが、優勝直前のタイガースショップを覗いてみると確かにその傾向が見られた。
7月末から優勝グッズの企画がスタート
聖地・甲子園球場前の公式ショップ「ALPS」「DUGOUT」では、試合開始3時間前から店内は人で溢れかえる。全支配下登録選手が揃うレプリカユニフォーム(税込1万1000円)は佐藤輝明、近本光司、森下翔太、中野拓夢といったレギュラー陣が品薄に。
一方、値段的に手頃な選手応援フェイスタオル(同1100円)は井上広大、熊谷敬宥、豊田寛、工藤泰成、植田海といった若手が品切れ中で、小幡竜平、中川勇人、佐野太陽、木下里都、町田隼乙、デュプランティエが品薄状態。優勝に貢献している坂本誠志郎、石井大智も品切れ中だったが、佐藤輝明や近本光司といった主力はたっぷり商品が並ぶ。
売り場担当者に聞くと「レギュラークラスは製造量が違います」と説明したうえで、「コアなファンほど若手や新人の応援タオルを購入される傾向があり、今シーズンのように日替わりでヒーローが出てくると幅広く商品が売れます」と話した。
グッズ商戦はこれからが本番だ。2023年はリーグ優勝し、さらに38年ぶりの日本一になり二段、三段ロケットで売り上げを伸ばした。今年はさらに期待が大きいという。そこには優勝グッズならではの事情も関係してくる。グッズ製造会社の関係者が言う。
「優勝グッズは7月末に企画がスタートする。マジックが点灯した段階で具体的に商品を絞り込み、優勝が見えてきた段階で製作に取り掛かる。キャップのような刺繍製作に時間がかかるグッズは早い段階で見切り発車しなければならない。今シーズンのように7月末の段階で2位以下に10ゲーム以上離しての独走だと、安心して優勝グッズの製作を進められる」