推薦入試の中でも指定校推薦や付属校からの内部推薦が増加している
推薦入試の拡大で注目される大学付属校。大学への内部進学の割合が増えているが、求められる学力の基準も上がり、勉強量も多く課せられるという。一方、指定校推薦は過渡期を迎え、退学者増加や学力不足も課題となっている。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする「“推薦入試”時代の真実」。【全3回の第2回。第1回から読む】
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前回記事では、大学受験で推薦入試が拡大する中で、増えているのは総合型選抜ではなく指定校推薦や内部推薦であることについて説明した。早慶上智ICUやMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)は内部推薦を増やしているし、日本大学や東海大学、帝京大学は一般選抜率が30%で、7割の学生が推薦で入学しており、付属校や系列校からの内部推薦と指定校推薦が多くを占める。
中学受験を取材していると、付属校に入学した生徒たちの嘆きの声を聞くこともある。
「付属校に入ったら勉強しなくてよいっていわれたから頑張ったのに、嘘じゃないか。騙された!」
早慶付属のある学校では「高校入試で入ってくる生徒たちと同じ学力にするためには、自宅で1日2時間の勉強が必要」と説明されたそうだ。
また、中央大学付属横浜のサイトには「一般選抜でも中央に合格できるぐらいの学力にしていく」と明記されており、実際、中学入学後もしっかりと勉強をさせるため、「中学受験の頃より、中学の頃が勉強しているかも」という生徒もいる。
ある付属高校出身の男性は母校に子供を入れたが、こう驚く。
「自分の高校時代は遊び呆けていました。でも、子供は宿題を泣きながらやっています。僕としては勉強はした方がいいと思うので満足ですが」
2010年代から付属校もより勉強をさせるようになっていったが、当初は「他大への進学を意識した学習」であったはずだ。2010年代前半は、早慶以外の付属校は「進学校化しないと生き残れない」と考えていて、進学に対して積極的だった。この頃から、内部推薦の権利を保ちつつ、外部受験していい付属校も増えてきた。
ところが今は違ってくる。外部受験を意識しない付属校もきちんと勉強させる。
なぜなら、付属校から大学への進学の枠が拡がった分、すべての生徒をきちんと育て上げて、優秀な学生として送り出す必要があるからだ。
あるMARCHの系列校のサイトでは「図書館で調べ学習をさせる」とあった。探究学習と書かず、調べ学習と書くところに真摯な姿勢が垣間見られる。調べ学習こそが大学での学びの基礎だからだ。