外国人投資家の動向が「需給」を大きく左右する(「俺がカブ番長!」第7回より。イラスト/スズキサトル)
株は「人気投票」といわれる。その株を買う人が多ければ上がるし、売る人が多ければ下がる。「この株は上がるはず!」と自分の思い込みだけではもちろん、個別銘柄の業績を調べ上げる「ミクロ」分析や、日本や世界の経済全体を見渡す「マクロ」分析をいくら積み重ねたとしても、期待通りの値動きにならないことは往々にしてある。
「誰が買って、誰が売っているのかという『需給』の動きをよく見て先を読まなければ、株式投資で成功するのは難しい」と個人投資家向けレポートを提供するカブ知恵代表・藤井英敏氏はいう。
2008~2009年にかけて雑誌『マネーポスト』誌上で連載された情報量満載の株コミック『俺がカブ番長!RETURNS』の監修を担当した藤井氏は、「まずは株価を動かす“主役”の動向を知る必要がある」とアドバイスする。
「日本株の取引主体は日本の企業でも個人投資家でもありません。売買代金の約6割を占めているのは外国人投資家です。ここ最近は企業の自社株買いの存在感も増してきているとはいえ、相場の“主役”である外国人投資家の売買動向が相場を左右する状況に変化はなく、そんな外国人が売り越している間は株価が上がりにくい。逆に外国人投資家が買い越していれば株価は上がりやすいといえます」(藤井氏、以下同)
外国人投資家の売買にはわかりやすい傾向があるという。
「外国人投資家は、大企業ならまだしも中小企業の業績など細かいミクロの部分まで精査するケースは稀。マクロ、つまり日本経済全体がこれからよくなるのか、悪くなるのかという大きな方向性を見て売買することが多い。よくなると判断したら買い、悪くなると判断したら売りですから、株価的には上がっていたら買い、下がっていたら売るという『順張り』が基本です。
これに対し、個人投資家は少しでも安いところで買おうと、下がったら買い、上がったら売る『逆張り』の発想が少なくない。株価が人気投票で決まる以上、主役が買わないのに脇役がいくら力を入れても、なかなか勝てないわけです」
日本株最大の買い手である外国人投資家の動向という「需給」を見なければならない理由は、まさにそこにある。