アップル依存から脱却するチャンスに(Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。関連記事《【スマホからスマートグラスへ】AI化の導入ツールとして注目を集める「スマートグラス市場」の歴史と現在地 米国テック企業が開拓した市場に中国企業が続々参戦》を踏まえて、スマートグラスなどウェアラブル市場の拡大に伴い注目の中国株の個別銘柄について解説する。
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米国の情報サイト「The Information」は9月19日、内部関係者の話として「オープンAIはアップルサプライヤーで大手電子部品メーカーの立訊精密工業(002475)と提携し、共同でコンシューマー製品を製造する」と伝えた。このほか、同じくアップルサプライヤーの歌爾(002241)とも提携を模索しているようだ。これを受けて中国本土メディア(財聯社、9/22)も、関係者の話として「オープンAIは既に具体的なプロジェクトで中国国内のサプライヤーたちと業務提携を始めている」などと伝えている。
2026年末、あるいは2027年初めに、ディスプレイのないスマートスピーカー、スマートグラス、録音機器、胸飾りタイプのAI製品といったコンシューマーエレクトロニクス製品を投入する予定とみられる。
オープンAIの主な収益源はChatGPTによる有料サブスクリプションであるが、このままでは最終ユーザーはスマートフォン、PCユーザーに限られる。エヌビディアは22日、オープンAIに最大1000億ドルを投資すると発表したが、今年1月に発表されたスターゲートプロジェクトでは4年間で5000億ドルの資金が同社に供給される見通しだ。こうした巨額の先行投資を回収するためには、ソフトウエアだけでなく、AI化の進展で大きな需要が生まれるとみられるハードウエア市場への参入が欠かせないと考えているのであろう。