閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
田代尚機のチャイナ・リサーチ
有料会員限定鍵アイコン
有料会員限定

過熱する米国ハイパースケーラーの「AI投資競争」の行方 「米国株AIバブル崩壊」の契機となるのは中国株市場への資金シフトか

オラクルとOpenAIは超大型のデータセンター投資を行うことで合意(Getty Images)

オラクルとOpenAIは超大型のデータセンター投資を行うことで合意(Getty Images)

 中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。今回は、巨大なサーバーリソースを保有する企業「ハイパースケーラー」の間で過熱するAI投資競争を踏まえて、AI革命が牽引する世界のマーケットの行方についてレポートする。

 * * *
 米国株はAIバブルなのか、そうではないのか──。AI革命は始まったばかりでこの先、自動運転、人型ロボットの普及へと壮大な広がりを見せるとすれば、株価指数は上昇トレンドの初期に過ぎないようにも思う。しかし、巨額投資をどのように回収するのかという点に着目すると、途端に先行きは不透明となる。

 米国メディア(ウォールストリートジャーナル)は9月10日、関係者の話として「オープンAIはオラクルから今後約5年間で3000億ドル(44兆1000億円、1ドル=147円)相当の計算能力を購入する契約に合意した」と報じた。オラクル側はオープンAIへのサービス提供のために大型データセンターを建設して対応することになる。

 この契約は2027年から実行されるようだが完成したデータセンターで必要となる電力は、フーバーダム2基以上、あるいは約400万世帯で使われる消費電力に相当する。両社にとってリスクも大きい取引となりそうだ。

 オープンAIが6月に明らかにしたデータによれば、今年の経常収益(RRR:直近四半期データに基づく年間売上予想)は100億ドルに達する見込みだが、予想される年間コストは600億ドルで、損失額の5分の1に過ぎない(環球時報、9月12日付)。巨額の資金調達を続ける一方で、ChatGPTの質を大きく向上させて売上をもっと伸ばし、赤字額を縮小させる必要がある。一方、オラクル側は大量のAIチップを購入しなければならないが、そのためには債券発行による資金調達が必要となりそうだ。特定企業への収益依存が高まると同時に、競合他社と比べ債務負担が重いといったリスクが生じる。

 上記以外にも、マイクロソフト、メタ、グーグル、アマゾンなどが巨額のデータセンター投資を続けているが、マイクロソフトはAIの性能向上によってCopilotからの大幅な収益貢献、サブスクリプション数の増加が期待できるのか、メタは広告収入の高度化、拡大が見込めるのか、グーグルはクラウドAIサービスで、アマゾンはクラウドAIサービスに加え、新たな広告形態などで収益を上げられるだろうか。AIの収益貢献評価は簡単ではない。

次のページ:自国以外の市場を取り込めるかどうか

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。