このように他人にある作業を委託する契約はいつでも解除できます。つまり、娘さんは好きなときに事務所を辞めることができます。委託契約では、特に相手に不利な時期に契約を解除して相手に損害が発生するときは、やむを得ない事情がない限り損害賠償の義務があります。しかし、これまで何の手配もレッスンもしてこなかった事務所にとって、不利な時期の契約解除になるとも損害が発生するとも思えません。
ですから、娘さんは賠償することなく解約できます。解約金を請求されてもその約束がなければ支払う必要はありませんが、登録時に、辞める場合は解約金が発生するとの契約を締結していたかもしれません。
その場合、事業者と消費者との契約として消費者契約法が適用されるので、解約金の約束があっても、通常発生する平均的な損害の額以外は支払う義務はありません。
いずれにせよ、消費者センターなどに相談することをおすすめします。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2025年10月16・23日号