予期せぬアクシデントにも事前に対策を講じることはできる。埼玉県在住の70代男性はこんな不安を語る。
「子供は遠く離れて住んでおり、介護や看護は望めません。私も妻も施設に入る考えはいまのところなく、妻が先に死んだ場合に孤独死が心配です。社交的な妻と違い、誰か気付いてくれるのか」
対策になるのが、いまのうちから外部の見守りを強化しておくことだ。
「カーテンが2日開いていないなど、何か異変があれば知り合いに通報してもらうのは効果があります。家に上がるのは抵抗があるが、警察への通報は心理的な負担が少ない。頼める人がいない人は地域包括支援センターなどを訪ねて自分の存在を知ってもらうことが大事です」(田屋氏)
新聞配達や郵便局、ヤクルトなどの見守りサービスに加入しておくことも有効だ。小谷氏が言う。
「新聞販売店が自治体と提携して見守りサービスをしているケースが増えています。数日間、新聞が抜かれていなければ民生委員がやって来て安否確認をしてくれます」
ペットも問題となる。夫婦のどちらかが病に倒れた際、ひとりでペットの世話をするのは骨が折れる。
「特に大型犬などの場合はひとりでの世話は大変。事前に対策を講じておいたほうがいい。現状ではペットの引き取りをする公的サービスはありませんが、最近は民間で『ペット後見』のサービスを提供する事業者が増えてきています。面倒をみられなくなった時に新しい飼い主を探してくれるので、夫婦でペット後見の手続きをしておくのもいいでしょう。
また、いまのうちにかかりつけの動物病院に相談しておくのもひとつ。万一、面倒がみきれなくなったら里親探しなどを手伝ってくれることもあります」(田屋氏)
保健所で処分とならないよう、手を打っておきたい。
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※週刊ポスト2025年10月31日号