“長期投資のワナ”に注意(「俺がカブ番長!」第11回より。イラスト/スズキサトル)
株式投資でどれだけ含み益が出ていようと、売却するまで利益は確定しない。投資初心者はついつい「買い時」ばかりを探そうとするが、本当に大切なのは「売り時」ではないか。株を保有していて「評価益(含み益)が膨らんでうれしい」とか「評価損(含み損)になって悔しい」などといっているうちは、実際に利益を手にしたわけでも、痛手を被ったわけでもない。「株は買いに入る時から“どのタイミングで売るか”という『出口』戦略を決めておかなければ勝てるものも勝てません」と個人投資家向けレポートを提供するカブ知恵代表・藤井英敏氏は指摘する。
2008~2009年にかけて雑誌『マネーポスト』誌上で連載された情報量満載の株コミック『俺がカブ番長!RETURNS』の監修を担当した藤井氏は、「実は『買い時』よりも『売り時』を見極める方が難しい」という。
「株式投資は『安く買って高く売る』ことが基本ですが、一見上昇が続くようでも、ある瞬間に下げ相場に転じたり、いつか上がると信じて待っていても下がり続けたりすることがあります。少しでも利益を拡大し、損失を極力減らすためには売り方を覚えておく必要があるのです。
まず売り方には大きく『利食い』と『損切り』の2つがあって、上昇トレンドが下降トレンドに転じる前に『利食い』して利益を確定。この先も下降トレンドが続くようなら損失が膨らむ前に『損切り』して損失を最小限に食い止めることが重要です。大切なのは、上昇トレンドで乗って、下降トレンドに転換する時に降りる。そして再び上昇トレンドになったら、また乗ること」(藤井氏、以下同)
持ち続けていればいつか増えると考える“長期投資のワナ”
資産を大きく増やすためには、長期投資が基本といわれる。利益が利益を呼ぶ「複利効果」を長く続けることで雪だるま式に資産が膨らむことが期待されるためだ。
「だからといって、持ち続けていればいつか資産が増えると考えていると“長期投資のワナ”にはまってしまいます。ただ保有し続けるのではなく、時には損切り覚悟で見切って銘柄を乗り換えたりしないと増えるものも増えない。ほったらかしにするよりも、トレンドに乗って売買を繰り返した方がリターンは増えるものです」