不動産相続の“落とし穴”に注意(イメージ)
団塊世代全員が75才以上となった2025年。超高齢社会が抱えるあらゆる問題の中でも、複雑で少しのミスが暮らしに大きな影響を与えるのが「相続トラブル」だ。思い込みや誤解、思わぬミスで“大損”をしないよう、知識を蓄えておこう。【全3回の第1回】
相続した実家の老朽化で固定資産税が6倍に
「先日、役所から見たことのない封書が届きました。そこには、相続した実家が老朽化しているため、今後『管理不全空家』に認定する可能性があると書かれていたんです。もしそうなると、いままで7万円だった固定資産税が42万円になってしまうみたいで……」
絶望したようにこう話すのは、東京都在住の主婦・Aさん(64才)。Aさんは7年前に父親を、4年前に母親を亡くしており、それを機に両親が住んでいた地方都市の実家を相続した。当初こそ庭の管理や掃除のために定期的に通っていたが、ここ2年ほどは足が遠のいていたところ、通知が届いたという。Aさんが続ける。
「建物を取り壊すと軽減措置がなくなって固定資産税が上がると言われたのでそのままにしておいたのに、いったいどういうことなんでしょうか」
プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが解説する。
「もともと住宅が建っている土地は200平米以下の範囲は固定資産税が本来の6分の1、200平米を超える範囲は3分の1になる軽減措置があります。ところが、『管理不全空家』または『特定空家』に認定されると、この軽減措置から外され、固定資産税が最大で6倍まで跳ね上がる可能性があります」
「うちの実家はほぼ無価値だろうから、税金なんてたかが知れている」と思ったら大間違い。Aさんがハマってしまったような“相続の落とし穴”は、実家の建物や土地、預貯金にまで、至るところに潜んでいる。
