何気ないへそくりに潜む「追徴課税」のリスクとは(イメージ)
団塊世代全員が75才以上となった2025年。超高齢社会が抱えるあらゆる問題の中でも、複雑で少しのミスが暮らしに大きな影響を与えるのが「相続トラブル」だ。思い込みや誤解、思わぬミスで“大損”をしないよう、知識を蓄えておこう。【全3回の第3回。第1回から読む】
ただの「へそくり」が追徴課税の対象に
相続手続きが終わった後、予想外の相続税が課せられるという悲劇もある。その最たる例が「名義財産」だ。「将来のために」と、孫名義の口座をつくってコツコツお金を貯めておくのはいいが、入出金や通帳・印鑑の管理を祖父母が行っていれば、それは“祖父母の財産”と見なされ、課税対象になる。マネージャーナリストで税理士の板倉京さんが語る。
「口座の存在を知らせず、進学や成人などのタイミングで“あなたのお金よ”と孫に渡せば、その時点で贈与税、渡さないまま亡くなってしまえば相続税の対象です。名義財産には時効がないので、税務署が名義財産として処理すれば、何年でも遡って課税することができてしまいます」(板倉さん・以下同)
同様に、へそくりやたんす預金も名義財産や単なる預り金と見なされることが多い。
「毎月夫から渡される生活費をうまくやりくりして、妻が自分の口座にコツコツ貯めて老後資金の足しにすることはよくありますが、これは“夫名義の財産”を妻が管理していることになり、夫が亡くなったら相続財産の扱いになります。
夫が毎月少しずつたんす預金をしていて、誰にもその存在を知らせずに亡くなり、後から税務署の調査が入って妻や子供が課税される、というパターンもあります」
