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知らないと損をする相続の落とし穴

《不動産相続の落とし穴》「元気なうちに実家を子供に贈与」は早計、要件に当てはまるなら贈与よりもお得な特例の活用を 逆に贈与を検討してもよいケースとは

不動産相続には落とし穴も多い(イメージ)

不動産相続には落とし穴も多い(イメージ)

 団塊世代全員が75才以上となった2025年。超高齢社会が抱えるあらゆる問題の中でも、複雑で少しのミスが暮らしに大きな影響を与えるのが「相続トラブル」だ。思い込みや誤解、思わぬミスで“大損”をしないよう、知識を蓄えておこう。【全3回の第2回。第1回から読む

相続を待たずに不動産贈与で損になるケース

 老朽化した空き家が「管理不全空家」に認定された場合、固定資産税の軽減措置から除外され、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がることがある。実家に住んでいた親が亡くなった後、誰も住んでいない実家を相続したが、そのまま放置した結果、「管理不全空家」認定の通知が届き、多額の固定資産税がかかってしまう──そういったケースは決して珍しくないのだ。

 ただ、このような実家の相続をめぐるトラブルを避けるべく、「元気なうちに実家を子供に贈与してしまおう」というのは早計だ。財産の性質や総額によっては、相続まで待たずに不動産を贈与するのは、損になるケースもある。税理士法人ベリーベストの税理士、中島麻子さんが説明する。

「『3000万円+600万円×法定相続人数』の基礎控除上限額を超え、相続税申告義務がある場合は、例えば課税対象額が1000万円の場合、相続税率は10%なのに対し、贈与税率は30%と3倍もの差になります」

 また、配偶者や子といった相続人が、亡くなった人と同居していれば「小規模宅地等の特例」で評価額が8割減になる。要件に当てはまるのであれば、贈与せずにこの特例を使う方がいいだろう。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが解説する。

「同居していなくても、相続開始の3年以上前から賃貸暮らしをしているなどの要件を満たせば、『家なき子特例』で評価額が8割減になります。相続後10か月以内に申告し、対象宅地を保有しないと無効になります。また、相続後に売却したり他人に貸したりして居住や保有をやめた場合も、特例の対象外になります」

 相続の方が贈与よりも税率の上がり方が緩やかだが、不動産の評価額によっては、贈与を検討してもいい場合もある。マネージャーナリストで税理士の板倉京さんが語る。

「自宅のほかにアパートや別荘など複数の不動産を持っているようなお金持ちの場合は、相続でも贈与でも、税率が変わらなくなることもあります。特にアパートなど家賃収入が得られる不動産だと、その収益で税金を払うことができるので、事前に贈与するのも1つの手です」

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