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「DOWNTOWN+」いきなり会員数50万人突破の衝撃!支出する人数 が限られるサブスク市場での“終わりなき椅子取りゲーム”の行方

月額1100円よりお得になる?「DOWNTOWN+」の料金プラン(公式サイトより)

月額1100円よりお得になる?「DOWNTOWN+」の料金プラン(公式サイトより)

既存のサービスとの「奪い合い」はジャンルごとに発生

 博報堂DYホールディングスが発表した「コンテンツファン消費行動調査2025」のデータは、一見するとこの仮説に反するように見える。調査によれば、生活者のコンテンツへの1人当たり年間支出額は8万5137円(前年比+6034円)と、過去最高を記録しているからだ。市場は成長しているではないか、と。

 しかし、データの細部を読み解くと、異なる実態が浮かび上がる。この支出増を牽引しているのは、「リアルイベント市場」 や「音楽ジャンル」 である。より重要な事実は、1人当たりの支出金額が伸びる一方で、コンテンツに「支出する人数」自体は減少傾向にあるということだ。

 調査は、「熱心なファン層による1人あたりの支出増が市場を支える」構造を指摘し、「コンテンツにお金を払う顧客の数自体は必ずしも増えてはいない」 と結論付けている。これはまさに、スマートフォンのホーム画面の整理に参加する人(=支出する人)は増えず、むしろ減っている中で、特定の人がより高機能なアプリ(=高額支出)に入れ替えたりしている状況を示す。そして、新しいサービスが生き残るためには、既存のサービスから顧客を奪う「入れ替え」を促進するしかない。

 この「奪い合い」の構造は、ジャンルごとに独立して発生していると私は見ている。動画サービスは動画サービス同士で、文字メディアは文字メディア同士で、限られたパイを争っている。例えば、「DOWNTOWN+」のライバルは「マネーポストWEBプレミアム」ではない。「Netflix」や「Amazonプライム」である。

 私がかつて『プレジデント』の編集長を務めていた時代、最大のライバル(というか読者を奪う草刈り場)と位置づけていたのは、日経新聞だった。日本という国において、経済メディアの領域は長らく日経新聞が圧倒的なシェアを握り、ビジネスリーダーの「共通言語」として機能してきた。日経新聞を読んでいることが、当時の、ある種のスタートラインだった。

 しかし、その日経新聞も、今ではかなりオールドファッションな存在に映る。企業広報が日経新聞の顔色ばかりをうかがっている風景も、今ではだいぶ減ったようだ。紙の新聞の影響力が弱まるにつれ、トヨタ自動車のように「自分たちで発信した方が早い」と考える企業も増えてきている。過去に権威があっても中身の刷新が伴わなければ、一等地を占拠し続けることは難しい。市場には常に新しい挑戦者が出現しているのだから。

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