常にどこかを飛び回っている堀江貴文氏
「しぶとい」――この言葉がもっとも似合う男のひとりが、実業家・堀江貴文氏ではないだろうか。東大在学中に起業し、過去には実業家として近鉄バファローズやフジテレビの買収に乗り出したこともある。ロケット事業を手がけているかと思えば、最近はミュージカルの舞台に出演したり、演歌歌手として歌を歌ったり……。堀江氏は言う。「行動しなければ、その先に何が待っているのかは永遠にわからない」と。では、「行動すること」と「それをやり抜く」ためには何が必要なのか。
最強のフィジカル&メンタルハックを著した堀江氏の新刊『体力が9割 結局、動いた者が勝つ』より一部を抜粋・再構成してお届けする。【全3回の第1回】
何度も訪れる修羅場にどう対応するか
「成功する人」とはどんな人だろうか。僕はこれまで数えきれないほどの成功者と出会ってきた。彼らには明確な共通点がある。才能? 違う。強運? それも違う。
彼らみんなに共通しているのは、とにかく“しぶとい”という点だ。それに尽きる。しぶとい人が成功者として成り上がっていくのである。
SNSには成功者たちのきらびやかな姿があふれている。世界を飛び回る実業家。華やかなパーティに出向くインフルエンサー。楽しそうな動画をアップする人気ユーチューバー。それを見てうらやむ人もいるだろう。でも現実は楽ではない。彼らが放つその光の裏には当然のように影がある。みんな試練の時期を何年も耐え抜いてきたのだ。そして成功したいまもなお努力を重ねているのである。
ハードシングスという言葉がある。「解決策が見出せないほどの窮地」「極端に難しい局面」といった意味だ。何か大きなことに挑めば、その過程で「もう無理だ」と心が折れそうになる修羅場が必ず訪れる。それも一度ではない。何度も訪れる。
たとえばスタートアップの経営者は、事業が軌道に乗るまで資金繰りに追われる。数か月後にはお金が底をつくかもしれないという重圧に常にさらされるわけだ。安定した資金確保のためには投資家の支援が不可欠。でも彼らに事業プランを熱弁したところでそう簡単にお金は出してくれない。冷たくあしらわれることもざらだ。それでもひたすら頭を下げてまわるのである。資金が尽きればすべてが終わる。
資金調達の苦労だけではない。せっかく育てた従業員が辞めてしまう。時として信じていた仲間に裏切られる。そうした試練を乗り越え、サービスや製品をやっとローンチする。でも不発に終わればまた一からやり直しだ。きつい。つらい。でもやる。なんとしてもやる。そうしていつしか成功をつかむのだ。
ハードシングスに打ち勝つために必要なもの
クリエイティブの世界でも同じだ。試練に打ち勝った人だけが残る。いまや国民的ユーチューバーとなったヒカキンさん。彼は無名のころ、手取り15万円のスーパーで働きながら、ひとり黙々と動画を撮って編集しユーチューブにアップし続けた。誰からも注目されない。観てももらえない。でも腐らずに来る日も来る日もその作業を繰り返したのだ。
シビアで孤独なルーティン。それをやり抜いたからこそ、いまの彼がある。
あなたが目指す「成功」とはどんなものだろうか。起業して世の中を変えるようなビジネスを実現する。キッズに愛されるユーチューバーになる。あるいは会社のなかで大きなプロジェクトを動かすリーダーになる。フリーランスとして自分のスキル一本で自由に生きる。はたまた副業で月に数十万円稼ぐことかもしれない。
何を目指すにしろ、それはあなたのいまいる場所よりも高いところにある。当然、その道のりは平坦ではない。理不尽、アクシデント、失敗、孤独、不安、プレッシャー。いろんな試練が待ち受けている。それを乗り越えて初めて成功をつかめるのだ。
ハードシングスに打ち勝つために必要なのは才能でも運でもない。「しぶとさ」だ。やるべきことを淡々とやり続ける力。手痛い失敗をしても踏ん張れる力。誰からも評価されなくても自分の信じる道を歩む力。そんな底力が決め手になる。
【POINT】
成功の道のりは険しい。でも「しぶとさ」さえあればいい
