華々しい大企業が参加
柳瀬は成田プロジェクトの計画変更にあたり、十数社の企業に声をかけ、その企業群を「企業コンソーシアム」と称した。2023年5月31日の大阪府とのやりとりを記した議事録には、その場面が出てくる。柳瀬が言う。
〈この時代に合わせて、新しい計画っていうのは、逆にものすごく良くなっておりましたね。以前よりも協力会社、事業参加、この不特法の事業参加者じゃなくて、事業に参加するコンソーシアムを作っておりますけど、ノリが違うんですね、本当に〉
繰り返すまでもなく不特法は不動産特定共同事業法の略称で、1995年4月に施行され、折しも第二次安倍晋三政権下のアベノミクスの売り物として、2013年、2017年、2019年と段階を追って法改正されてきた。法改正によりインターネットを使った不動産のクラウドファンディングが流行し、みんなで大家さんの柳瀬はこの時流に乗って投資家から資金を募ってきた。
一方、2000億円という途方もない巨額の投資を集めたはいいが、肝心の不動産開発はハナから実現不可能なプロジェクトであった。そこで次に企業コンソーシアムを前面に立て、新たなプランを用意したのである。その企業コンソーシアムの顔ぶれが華々しい。
年商5兆円を誇る日本最大のデベロッパー「大和ハウスグループ」をはじめ、印刷業界最大手の「TOPPAN(トッパン)」、近年急成長を遂げたコンサルタント業の「ベイカレント」やロンドンを本拠地とする世界的な「PwCコンサルティング」、食品卸や水産物加工の「国分グループ」、自動倉庫の「村田機械」、タイヤメーカーの「ブリヂストン」といった名立たる10社以上の大企業が、成田プロジェクトに誘われたという。参加企業の関係者が打ち明けた。
「柳瀬代表はコロナのパンデミックのせいでインバウンド需要が落ち込んだのを機に、成田プロジェクトの計画を変更すると声をかけていました。もちろんコロナも後付けの言い訳に過ぎませんし、そのあとはロシアによるウクライナ侵攻も理由にしていました。計画変更は早い話、従来の計画では無理なことが明らかになったからでしょう。2022年から企業に声をかけていきました」
十数社が参加した企業コンソーシアムには2023年3月以降コンサルタント契約を結び、1社あたり年間数千万円から数億円のアドバイザリーフィー(手数料)が支払われたという。
「はじめは安土城のホテルのなかに再生医療センターをつくればどうか、なんて話もありました。大学の医学部にも声をかけたようですけれど、無理でした。アドバイザリーフィーは12億円以上の支出になっています。細かい金を入れるとトータルで14億円くらいだと思います。その結果、できあがったのが『日本版フードバレー構想』という計画です」(同前・関係者)
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【プロフィール】
森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ──「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『菅義偉の正体』、『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』など著書多数。
※週刊ポスト2025年12月12日号