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キャリア
伊藤孝恵氏が政界に持ち込んだ「リクルート流」

「元リクルート社員」はなぜ他業界でも活躍できるのか? 国民民主党・伊藤孝惠議員が進める党のコミュニケーション戦略の内製化 民間のマーケティングのノウハウを活かす

7月の参院選では国民民主党のコミュニケーション戦略を一手に引き受けていた伊藤孝惠・参院議員(右)

7月の参院選では国民民主党のコミュニケーション戦略を一手に引き受けていた伊藤孝惠・参院議員(右)

 各業界に様々な人材を輩出し続ける異色の大企業・リクルート。参院議員の伊藤孝惠氏(国民民主党)も「元リク」女性の一人だ。「自分の守備範囲を軽やかに超えていく知識やひらめき」が「元リク」の強みであるとする伊藤氏には、政治家としての2つのチャレンジがあるという。1つは「政治と民間のキャリアが地続きになって行き来できる”リボルビングドア(回転ドア)”を日本に定着させること」。

 その伊藤氏が掲げる「もう1つのチャレンジ」とは何か。『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』の著者でジャーナリストの大西康之氏が話を聞いた。【インタビュー・全3回の第2回】

 * * * 
――2つのチャレンジのもう1つというのは?

伊藤:主権者教育のアップデートです。

 先日、学校内民主主義法案(※)を国会に提出しました。例えば、前髪は眉毛の上、下着は白など、大昔に制定され、見直しもされずに放置されてきた、いわゆる「ブラック校則」が全国にたくさんあります。合理性もなく、納得感もないのに、校則だから守れと言われ、違反したら罰せられる。そんな思春期を経て、18歳になったら急に、「あなたの1票で社会を変えられる」と言われても、身近なルールすら見直すことが許されてこなかった子どもたちはきっと、ただの綺麗ごととして聞くだけです。

【※/2025年3月18日に参議院に提出された学校教育法の一部を改正する議員立法。児童生徒や保護者が学校の規則(特に校則)に対して意見を述べる機会を保障し、それらの意見を学校運営に反映させることを目的とする。】

 小さくてもいいから、成功体験が必要です。まずは身近な校則というルールに対して自分が意見を持ったら、それを言語化して、課題感を共有する仲間を作り、利害関係者の意見を調整しながら、ルールを変えていく体験をしてほしい。

 ルールはつくることも、変えることも、簡単ではありません。しかし、それでも粘り強く動くこと、諦めずに動く人がいてはじめて、事態は僅かに進展していく、その“社会の変化の正体”を体感してもらうことこそが、真の主権者教育なのではないでしょうか。

 私たち政治家は今まで、選挙権のある“有権者”にばかり話しかけてきました。しかし変化の主体は子ども達です。

 この絵本も、そんな課題感から書きました。思い立って4時間で一気に書き上げました。

――『はんなちゃんそうり 総理大臣になりたい女の子とおばあちゃんおばけの話』ですか。あ、本当だ。作:伊藤孝恵になってる。

伊藤:これ、実話なんです。次女が7歳のとき、学校で「将来何になりたいか?」と聞かれ「YouTuberになるか、駄菓子屋さんなるか、総理大臣になるか今、迷っている」と答えたら、お友達には笑われ、先生には「女性の総理大臣は外国にはいるけど、日本にはいないんだ」と言われてしまったそう。次女は家に帰るなり、「ママは政治家でしょ? どうして女の人は総理大臣になれないの? 外国ではなれるのにどうして日本ではなれないの?」と聞くのです。

 思えば、同じような質問を幾度となく受け、テレビや新聞、講演会などで9年間、私は語り続けてきましたが、本当に伝えたい人たちに伝えられていなかった。ターゲット設定を間違えていたことに気付きました。

 女も男も関係ない。一生懸命勉強すれば何にだってなれる、どこにだって行ける。それを伝えるべきは子ども達であり、子ども達の芯をつくっている親御さんたちなのだと思ったので、読み聞かせで両者にアクセスすることが出来る「絵本」に挑戦しました。

 絵本の中では、79年前、日本に初めて誕生した女性国会議員がおばけになって現れ“小さな円を描くより、大きな弧を描いて飛べ”と、主人公の女の子をエンパワメントします。

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