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“バブルの王様”森下安道の伝説 トランプタワーでタイソン、ホーガンと交流、ニクラウスにゴルフ場設計を依頼

バブル期、森下安道氏はトランプタワーを拠点に海外でも人脈を広げていった(1997年撮影/時事通信フォト)

バブル期、森下安道氏はトランプタワーを拠点に海外でも人脈を広げていった(1997年撮影/時事通信フォト)

 今から30年以上前のバブル期、貸付総額1兆円超の街金融・アイチを率いて世界中のゴルフ場や絵画などを買い占めた人物が“バブルの王様”こと、森下安道(1932-2021)である。その森下の評伝『バブルの王様 森下安道 日本を操った地下金融』を上梓したノンフィクション作家・森功氏が、バブル期に彼が築いた驚きの国際的な交遊録を明らかにする。(文中敬称略)

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 森下安道が若きドナルド・トランプから58階建てのトランプタワーを購入したのは、アメリカのゴルフ場メスキートCCの買収に乗り出した1年後の1987年9月だという。ゴルフ場オープンの目処が立った頃にあたる。森下は渡米すると、西海岸のカリフォルニアでゴルフ場のオーナーとして地主などとの交渉に臨み、その足でアメリカ大陸を横断してニューヨークに向かった。

 ニューヨークの道案内役が、新発田(しばた)潤一という日本人である。新発田本人から話を聞くことができた。

「私が森下会長と出会ったのは、まだ米国でゴルフ場を手掛ける前の1983~84年頃だったと思います。当時の私は東京からニューヨークにやって来る日本人を相手に『ニューヨーク東京ツアーズ』という旅行代理店を経営しながら、不動産の仲介などもしていました。そのなかで森下会長と仕事をする機会を得たわけです。以来、森下会長からはニューヨークにいらっしゃると必ず電話をいただき、アテンド(案内)してきました」

 たまたま知り合った新発田はニューヨークにおける森下のブレーンとなって、さまざまなビジネスの現場に立ち会った。若きドナルド・トランプの建てた黄金のタワービルが売りに出されているという情報を森下にもたらしたのも新発田だ。そして森下は新発田の仲介でトランプタワーを購入する。新発田は40年前の森下とトランプとの邂逅を鮮明に覚えていた。

「トランプが最初の奥さんであるイヴァナといっしょに、リアルエステート(不動産)ビジネスをしていた頃です。その少し前にワシントンとニューヨークをつなぐ『トランプ・シャトル』という飛行機会社を買収して航空業にも乗り出したけど、そちらのほうはあまりうまくいかなかった。撤退するかどうかというような状況でした。そのトランプを紹介するため、できたばかりのトランプタワーに構えていたオフィスに森下会長をお連れしたのです。あの頃のトランプは数多くのスポーツ選手のスポンサーにもなっていて、オフィスには有名人がしょっちゅう出入りしていました。たしか森下会長をお連れしたときは、プロレスラーのハルク・ホーガンがそこにいました。あの身体なので驚いたでしょうけど、たぶん会長は誰だかわからなかったのではないでしょうか」

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