日本の通販サイトより安い価格で商品を売れる
日本の税制には、海外からの輸入製品は「1梱包あたり1万円以下」であれば少額輸入貨物として関税と消費税を免除する特例がある。これを利用して売上を伸ばしているとされるのが中国の通販サイトだ。
財務省の資料【※注】によると、昨年の日本への輸入許可件数はコロナ前の4倍以上の約1.9億件に達し、その9割が少額貨物。とくに「越境ECサイト」と呼ばれる中国や韓国のネット通販の消費者向け貨物が増加していると指摘している。
【※注/急増する少額輸入貨物への対応に関するワーキンググループ中間とりまとめ(令和7年9月)】
経済ジャーナリストの荻原博子氏は言う。
「日本の通販サイトは、単価が1万円以下の商品であっても大量に輸入して消費者に売るため、関税や消費税がかかる。しかし、SHEINやTemuなど中国の通販サイトが消費者に1万円以下の商品を売る場合、“消費者の個人輸入を仲介”する形をとるため商品は免税になる。この仕組みを利用することで日本の通販サイトより安い価格で商品を売れるから競争上有利になり、それで日本で売上を伸ばしています。そもそも公平な競争になっていません」
そこで財務省は関税・外国為替等審議会のワーキンググループで対応を検討し、11月26日に中間とりまとめを発表。少額免税制度の廃止や対象品目の見直しなどが検討されている。
財務省関税局の説明だ。
「1万円以下の少額貨物は、中国からの通販のものが多いのは事実ですが、この取り組みは中国通販を念頭に置いたものではなく、世界的に急増している少額貨物への対応を協議するものです。通例では年内にまとめる税制改正大綱に盛り込む方向での議論を行ないますが、最終的な方針はまだ決まっていません」