偽造身分証の作成依頼はウィーチャットを通して行われたという(イメージ)
12月1日をもって紙の健康保険証が廃止され、マイナ保険証に一本化された。その目的のひとつに偽造やなりすましを防ぐことがあったが、すでにその動きにも対応して、中国系業者が賃貸契約や不法就労に使える保険証等の「偽造身分証」を売りさばいている。その実態を、中国事情に詳しいフリーライターの廣瀬大介氏が明らかにする。【前後編の後編】
日本人になりすますことで審査の網をすり抜ける
取材を進めるなかで、過去に業者から偽造身分証を購入したことがあるという中国出身の30代女性に話を聞くことができた。女性は以前、千葉県内のマンションで違法風俗店を営業していたという。
「偽造免許証と偽造保険証を使ってマンションの賃貸契約をしていました。免許証の写真には、共同経営者の顔写真を使い、ウィーチャットの偽造業者に日本人の名前で作成を依頼、それぞれ2万円で購入しました」
賃貸借契約の保証人は、知り合いの日本人に30万円を渡して引き受けてもらったというこの女性。不動産業者からは偽造を怪しまれなかったのか。
「中国系の不動産会社の中にはこちらが違法風俗店と分かっていて物件を紹介してくれる会社があって、そういうところだと審査が緩いだけでなく、偽造された身分証だと薄々気付いていたとしても、オーナーの目を誤魔化すなど、うまく対応してくれる」(同前)
在日中国人に詳しいジャーナリストはこう話す。
「日本人として物件を借りることで在留カードやパスポートの提出がなくなり、物件を借りるための物件オーナーの審査の網をすり抜けやすくなる。そのため、日本人になりすますことができる『偽造身分証』が作られている。とくに、免許証と保険証がだいたいセットで身分証として使われるため、この2つが偽造されるケースが多い」
