医療費を節約するには「薬との付き合い方」も重要なポイント(写真:イメージマート)
11月、財務省の財政制度等審議会で、70歳以上の医療費自己負担を原則3割にする社会保障制度の改革案が示された。現在、所得に応じて1~3割となっている70歳以上の医療費の「窓口負担」を原則として「一律3割」にするというのが財務省の提案内容だ。
近年の物価高で衣食住のコストが重くのしかかるなか、日常的に支出する医療費の負担増加によるダメージが大きい。だからこそ、可能な限り医療費を削減しておきたい。
医療費の節約においては、薬との付き合い方も重要なポイントだという。薬剤師の長澤育弘氏が言う。
「高血圧や高脂血症など生活習慣病の治療で服用期間が長期に及ぶ薬については、医師と相談して少しでも安いジェネリック薬(後発医薬品)に変えてもらうだけで薬代が大きく変わります。ジェネリック薬は同じ有効成分を持つ先発薬より2~7割ほど安価だからです」
ジェネリック薬に不安がある場合は、添加剤や製造方法まで先発薬と同一の「オーソライズド・ジェネリック(AG)」が有力な選択肢となる。
医療機関のかかり方と同様に「処方された薬をいつ受け取るか」でも実は自己負担に差が生じる。
「夜7時から翌朝8時までの『夜間』や『休日』に調剤薬局を利用すると、『調剤技術料』に『夜間・休日等加算』が加わり3割負担で120円の負担増となります」(長澤氏)
さらに、「どの調剤薬局を利用するか」でも、負担額は変わるという。
「処方箋の受付枚数が多い薬局ほど、『調剤基本料』が安くなる仕組みがあります。個人経営の薬局では135円ですが、大手チェーンは最も高い薬局で105円、医療機関の近くにある“門前薬局”で87円です」(同前)
調剤基本料が最も安いのが院内薬局で、「15円のケースもある」という。
「院内処方のメリットはほかにもあり、薬剤料以外の費用が3分の1程度に抑えられるケースがあります。例えば高血圧で28日分の薬を1種類もらう場合、処方箋料などは院外560円に対し、院内なら180円で済みます」(同前)
