志望校選びの基準は?(イメージ)
大学への入学希望者数が入学定員数を下回る「大学全入時代」――大学進学率は年々上昇を続け、令和4年には男女ともに50%を超え、男子は60%に迫る勢いだ。大学自体の多様化も進み、カリキュラムの自由化や、一般教養から専門教育への切り替えの早期化など、学び方も変化する中で、受験の多様化も進む。
しかし選択肢が多いとなると、今度は迷いも生じるものだ。入り方も学び方も多様になった現代で、大学はどのように選べばいいのか。『人生で必要な決め方はすべて「進路選択」で学べる』を日本総合研究所の山本尚毅氏と共に著した、河合塾学校事業推進部部長・山口大輔氏に話を聞いた。【全3回の第2回】
“決め方”を知ることで見えてくる大学選びの「最適解」
――大学の選び方において、“最適解”はあるのでしょうか。
山口:唯一の解があると言えませんが、「決め方」で言えば3つのフレームワークに落とし込んでみると、整理しやすいと思います。
【1】プロコン表
問いに対する賛成意見と反対意見を羅列し、それぞれの意見に5段階で重要度の点数をつけ、決め手になりそうなものをその理由とともに書いて比べる方法。
5段階で重要度の点数をつけていく
【2】総合評価表
縦軸に選択肢、横軸に判断基準を書き、判断基準に重み付けをつけながら、表中のすべてのマスに評価した点数を入れる。点数と重み付けの積で選択肢の合計点を算出し比べる方法。
点数を算出することで選択肢の優先順位がわかる
【3】決定木(けっていぎ、decision tree)
決めたい事柄を一番上に書き、そこから起こりうる選択肢を下に広げていき、それによりもたらされる結果を書く。期待される結果(リターン)の点数、それがおこる発生確率の積から期待値を算出して比べる方法。
書き出してみると脳内も整理できるのがメリットだ
――整理して意思決定をするんですね。
山口:大学選びという大事な局面においても、“なんとなく”で決める人が意外に多いんです。
ただそれは、教えられていないからです。私たちが、これまでに“決め方”を習ったことあるかという調査をしたところ、大学生で「はい」を答えたのはたったの13%でした。だから、まずものごとには“決め方”があるということを知ることが大切です。絶対的に人生に関わってくるような大きな決断の時には、やはり“なんとなく”で決めてはいけないんです。



