納得できる学校選びの方法とは(イメージ)
「偏差値が高い学校が、必ずしも自分に合っているとは限らない」――教育の軸はいま、「偏差値」から「納得」へと変わりつつある。しかし依然として、大学選びでは“より上へ”を求める声も根強い。
受験や進路をはじめ、人生におけるさまざまな局面において、どうすれば自分で納得できる選択ができるのか。『人生で必要な決め方はすべて「進路選択」で学べる』を日本総合研究所の山本尚毅氏と共に著した河合塾学校事業推進部部長・山口大輔氏に話を聞いた。【全3回の第3回】
複数の選択肢を持っておくことの重要性
――大学の選び方は昨今いろいろあるとはいえ、塾も学校も、「高い偏差値」の学校に合格した人数が多いほうがすごい、といった風潮は根強いですよね。
山口:そうですね、やはり偏差値は巨大な軸です。私たちも予備校なので、少しでも「上」を目指してみては、と言うことはあります。ですが、やはり「目標」と「目的」は違う、ということだけは気をつけたいところです。
東大に合格した人はすごいと思います。その人たちは「学力が高いんだぞ」というよりも、合格によっておそらく「自信」を得たわけですよね。自分が頑張ったことが成果として手に入り、それが自信となっている。だから、その後もいろんなことに自信を持って挑戦できる部分はあるのかなと思います。
とはいえ、あくまでそれは「勉強」という競技・競争で勝っただけのことです。東大に入ることが目的、正義になるのは危ない考え方です。なぜなら「東大に入れない」ことがわかった瞬間に目的を見失ってしまうからです。
東大に行けなくても、人生おしまいではありません。
その点で、第2、第3の選択肢を持つことが大切です。途中で進路変更があってもいい。やりたいことや明確な目標があることはもちろんいいことですが、“目標逆算型”は危なっかしい。たとえばなりたい職業があるとして、自分が大人になった時にその職業がある保証もないですからね。目標にむかって頑張るのも大事ですが、自分の強みを活かせるような、複数の選択肢を持っておくべきだと思います。
複数の選択肢をもっておくために、(前回記事で紹介した)「3つのフレームワーク」は有効です。進んでみたけどうまくいかない、ちょっと方向を変えたいなという時、ゼロベースで考え直すよりも、表を引っ張り出してきて、「この選択肢はなくなったけど、残りの選択肢の中だとどれかな」と考え直すことができる。あるいは、自分の価値観や判断基準が変わっている可能性もあるので、改めて再入力してみると、新たな発見があるでしょう。
