「トランプ流のモンロー主義」とは(Getty Images)
2026年、混迷の世界と日本はどこへ向かうのか。やはり注視すべきは、トランプ米大統領の動向だ。トランプ氏の舵取りによって今、世界のパワーバランスは大きく塗り替えられようとしており、日本もその影響を受けることは必至だ。ジャーナリストの池上彰氏と作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が語り尽くした。【全3回の第1回】
トランプ流モンロー主義
池上:今年の国際情勢を占ううえで、11月のアメリカの中間選挙は大きなポイントです。トランプ大統領の支持率が落ち込んでいますが、やはり共和党は苦戦しますかね。
佐藤:揺り戻しはあるにせよ、上下両院ともに共和党が過半数を制する“レッド・レッド”が覆ることはないと見ます。ただ、見逃せないのは政権で起きている大きな変化です。昨年12月5日にトランプ政権が公表した「国家安全保障戦略」を読むと、トランプは世界戦略のステージを1つ上げている。これは2026年に向けたマニフェストです。
池上:確かに、この文書は歴代大統領の世界観が濃厚に反映されます。
佐藤:ここで唱えられているのは「トランプ流のモンロー主義」という考え方で、中国やロシアに対する内政不干渉の方針が明確に示されています。ウクライナ侵攻についての記述ではロシアへの非難がないうえに、ロシアとの戦略的安定性を再び確立することを「アメリカの中核的利益だ」とまで書いている。他方、欧州についての記述では、「国民の大多数は平和を望んでいるのに民主的政治過程が破壊されているために政策が反映されていない」と説き、「文明として消える可能性がある」とまで書く。この認識は完全にプーチンと同じ船に乗っている。
