台湾有事答弁問題が「沖縄情勢」にどう影響するのか(高市早苗・首相/時事通信フォト)
2026年、混迷の世界と日本はどこへ向かうのか。やはり注視すべきは、トランプ米大統領の動向だ。トランプ氏の舵取りによって今、世界のパワーバランスは大きく塗り替えられようとしており、日本もその影響を受けることは必至だ。ジャーナリストの池上彰氏と作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が語り尽くした。【全3回の第2回】
中国が見つけた“デモよりコスパがいいやり方”
池上:高市首相の台湾有事答弁の問題で、トランプは中国に何も言いませんでした。日本にとってはしんどい話ですが。
佐藤:昨年の11月25日にトランプが高市首相に電話してきた際は、習近平に電話した後でした。そして高市氏には「少し大人しくしろ」と。
それまでグラス駐日米国大使は厳しい調子で中国を非難していたわけで、やはりトランプ氏とグラス氏の間では対中戦略に違いがある。
池上:背景としてトランプが通商交渉で習近平に負けた、という事実は確認すべきでしょうね。関税については痛み分けでそれぞれ少し引き下げましたが、中国のレアアース輸出が止まれば死活問題となるアメリカの半導体産業が泣きついたのでしょう。トランプは中国を刺激しすぎない路線へと切り替えた。
佐藤:ただ、日本も内閣情報調査室を中心に上手な打ち返しはできています。
池上:中国側の反応では、2012年に尖閣諸島を国有化した際と同様、反日デモが起きてもおかしくないのに、起きていませんね。反政府デモに転じるのを恐れ、当局が封じているかもしれません。
佐藤:いや、デモよりコスパがいいやり方が出てきたんですよ。“日本を押さえるにはドナルドと話をつける”という方法です。なにしろ電話したらすぐ動いたわけで「この手は悪くないぞ」と習近平にとっては嬉しい誤算だったはず。「今日のウクライナは明日の日本」という警句が、想定外の形で現実化してしまった。
