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《対談・池上彰氏×佐藤優氏》台湾有事答弁問題で憂慮すべき沖縄情勢 なぜメディアや官僚は「沖縄分離」という国家統合の危機に鈍感なのか

台湾有事の最前線に想定される沖縄に迫る危機

池上:先日、ロケで台湾を訪れたのですが、最大野党国民党の党主席に女性の鄭麗文氏が選ばれ、勢いづいていました。親中派の国民党員はもちろん、「戦争になれば中国人には絶対に勝てない」「従うべきだ」と主張するインフルエンサーの影響力は強まっています。発信者を育てることによる世論作りは、「戦わずして包摂する」という中国の工作の成果でもあって、頼清徳政権は「台湾有事は始まっている」と危機感を強めています。

佐藤:日本が考えなければいけないことの1つに、台湾有事で、最前線と想定される沖縄の情勢があります。国境にあたる与那国町では、自衛隊受け入れに積極的だった前町長を2025年8月に破って当選した上地常夫・町長がこれ以上の自衛隊増強に異議を申し立てています。しかも、公明党沖縄県本部は普天間の辺野古移設に反対で、米海兵隊の県外移設の主張の旗を降ろしてない。今後、連立から離れた党中央が同調する可能性もあります。

池上:中国は「琉球は日本ではない」と盛んに発信していますね。

佐藤:無闇に有事に突っ込めば、沖縄分離という足元の国家統合の危機が生じかねないのに、メディアや官僚は鈍感です。また、高市政権発足で日本も大きく変わりました。小泉進次郎・防衛相が、自衛隊の1佐や2佐という階級名を大佐や中佐に変えると表明しましたね。名称を変えると軍が強くなるなんて、まるで“言霊信仰”です。石破政権までとは、大きな断絶があると思います。念力で外敵を跳ね返した800年前の元寇以来の「念力主義」の復活だとすれば、“高市革命”と言っていいぐらいの新しい政治ですよねえ。

池上:皮肉を仰いますね(苦笑)。

佐藤:存在しない「戦艦」を持ち出した台湾有事をめぐる国会答弁もしびれましたが、今や高市さんの予測不能性は金正恩や習近平よりも高い。

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【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から『週刊こどもニュース』のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。名城大学教授、東京科学大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『知らないと恥をかく世界の大問題16 トランプの“首領モンロー主義時代”』『米中対立 日本はこうなる』など。

佐藤優(さとう・まさる)/1960年、東京都生まれ。元外交官、作家。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在露日本国大使館などを経て外務省国際情報局に勤務。現在は作家として活動。主著に『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』、近著に『佐藤優の特別講義 戦争と有事 ウクライナ戦争、ガザ戦争、台湾危機の深層』『第三次世界大戦を阻止するのはトランプしかいない』など。

※週刊ポスト2026年1月16・23日号

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