ご質問の退職金は、賃金の後払い的な性格や長期間勤務したことに対する功労金的な意味で支払われるため、勤務期間は重要な要素です。会社の中核として長く勤めることが期待される有為な正社員を確保し、定着を図るなどの目的で長期にわたる勤務期間中の賃金の後払いや功労に報いる目的での退職金が支払われるのは当然のこととして、他方、短期間での退職を前提とする有期雇用労働者に退職金の支給がなくても、一概に不合理とはいえないと思います。
しかし、有期雇用労働者が更新を重ねて20年にも及べば、更新ごとの雇用期間については賃金の後払いは予定されませんが、長期間勤務の功労金的な退職金があってもよいでしょう。あなたが正社員と同じ業務を勤務時間や働いた場所なども同様の制約のもと、20年間も続けたのにもかかわらず、一切退職金がないのは、不合理な差別になる可能性があります。
そこで会社に退職金支払いを求めても不当ではありません。ただ、退職金支払いの約束がないため、交渉は難航しそう。それでも基準監督署に相談してみてください。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2026年1月16・23日号