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「消費税4万円のはずが10倍以上に!」思わぬ勘違いで納税額が跳ね上がったフリー編集者のため息 混乱を招くインボイス制度の複雑さ

インボイス制度導入で混乱する納税者も少なくない

インボイス制度導入で混乱する納税者も少なくない

 2023年10月より始まった適格請求書等保存方式、通称「インボイス制度」。国税庁によれば、個人事業主の消費税の申告件数は約197万2000件で、前年度の105万5000件から約87%増加。申告納税額は約6850億円で、前年度からは約9%増加したという。

 インボイス登録により初めて消費税を納税する個人事業者がかなり増えたことがうかがえるが、その裏では制度の複雑さゆえに混乱を招くケースもあるようだ。

 まず「インボイス(適格請求書)」とは、複数の税率がある消費税に対応した請求書のことで、インボイスが発行された取引については、消費税の仕入税額控除が適用される。インボイスを発行するには「適格請求書発行事業者」に登録する必要があり、この登録ができるのは消費税の課税事業者のみ。1年間の売上(事業収入)が1000万円未満の事業者については消費税の納付が免除されるが、適格請求書発行事業者に登録すると、売上が1000万円未満でも消費税を納付しなくてはならない。

 つまり、売上が1000万円未満の事業者はインボイス登録をせず免税事業者のままでいることで、売上の消費税分を“益税”として得ることができるため、インボイス登録をしないことのメリットが大きい。一方で、取引先にとっては免税事業者との取引は仕入税額控除の対象とならないため、免税事業者よりも課税事業者と取引をしたほうが、納税額が減るというメリットがある。そのため、免税納税者のままだと“取引先から仕事をもらえないかもしれない”というリスクがあり、売上1000万円未満でもインボイス登録をして、消費税を納付する事業者も少なくないのだ。

 また今回のインボイス制度導入にあたって、免税事業者からインボイス発行事業者となり、消費税を納税することになった事業者に対しては、「2割特例」という負担軽減措置がある。この特例は、仕入税額の計算の必要はなく、売上にかかる消費税額の2割を納付するというものだ。令和5年(2023年)の消費税申告においては、インボイス制度が始まった10月から12月の売上にかかる消費税に対して適用される。

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