店舗限定の「骨付きリブロースステーキ」は1枚6800円
居心地の悪い席ほど「時間あたりの売上」が高くなる?
社長の言葉にある通り、これは単なる縮小ではない。座席という物理的な数を捨て、回転の質を高めるという高度な計算が働いている。飲食店経営には「回転率」という指標がある。実は、この回転率と座席の快適さには、残酷なまでの相関関係があることが、学術的な研究によって明らかになっている。
2004年に発表されたS. KimesとS. Robsonによる研究『The Impact of Restaurant Table Characteristics on Meal Duration and Spending(レストランのテーブル特性が食事時間と支出に与える影響)』には、以下のような記述がある。
「210席のカジュアルなメキシコ風レストランにおける1400件以上の食事取引を分析した結果、ボックス席の客による1分あたりの支出単価(SPM)は平均よりわずかに高かったが、ベンチシート席の客のSPMは平均を下回った。皮肉なことに、ダイニングルーム内の条件が悪い場所にあるテーブルは、条件が良いとされるテーブルよりも高いSPM値を記録した」
つまり、居心地の悪い席ほど、客は長居をせず、さっさと食べて帰ってくれるため、店側から見れば「時間あたりの売上」が高くなるというカラクリだ。
個人的には、かつての「いきなり!ステーキ」の、あの殺伐とした立ち食いスタイルは嫌いではなかった。商社に勤める友人も同意見だが、余計なサービスなど求めず、ステーキをガツガツと食らい、さっさと消える。その潔さが、忙しい現代人の肌感覚に案外フィットしていた側面はあったと思う。雑な経営で破綻しかけたとはいえ、あの「余計なことがない」体験には独自の価値があった。かつてのモデルは、意図的かどうかは別として、この「不快だが高回転」という仕組みを極限まで突き詰めていたのだ。
