うまい人は、相手が「質問」しやすい余地を作っている
説明がうまい人は、聞き手が安心してボールを投げ返せるように、意図的に「質問の余地」を作ります。自分の説明を完璧な壁で固めるのではなく、ところどころにボールがすっぽり入る「穴」や「隙間」をデザインしているのです。
そのシンプルなテクニックをご紹介します。
あえて「完璧」に話さない
説明がうまい人は、1から10までをすべて説明しません。あえて8割程度で止めたり、少しだけ抽象的な言葉を使ったりすることで、聞き手の頭の中に「ん?」「それって、どういうこと?」という自然な疑問を湧き上がらせます。
【ビジネスシーンでの例】
「このプロジェクトを成功させる鍵は、『顧客体験の最大化』という一点にあります。具体的な手法はいくつか考えられますが、皆さんなら、まず何から始めますか?」
【プライベートでの例】
「このパスタの味つけの決め手は、実は『隠し味』なんです。スーパーで手に入る、ある意外な調味料なんですが、何だと思いますか?」
このように、すべてを教えるのではなく、聞き手に考えさせたり、予測させたりする「余白」を作る。これが、相手を対話に引き込むための高度なテクニックです。
「質問してください」という信号を送る
さらに、説明がうまい人は、節目節目で「質問をどうぞ」という信号を送ります。
「少し駆け足で話してきましたが、ここまでのところは大丈夫そうでしょうか?」
「あえてシンプルにお話ししましたが、もっと詳しく聞きたい部分はありますか?」
「この点については、色々なご意見があるでしょう。率直にどう思われましたか?」
これらのフレーズは、聞き手に対して「あなたの疑問や意見を歓迎しますよ」というメッセージを伝える、いわば「対話への招待状」です。この招待状があるからこそ、聞き手は安心して質問という名のボールを投げ返すことができるのです。
質問は「攻撃」ではなく、「最高の贈り物」である
説明がうまくない人は、質問されることを恐れます。質問は自身の説明の欠陥を指摘する「攻撃」のように感じられるからです。
しかし、説明がうまい人は、質問は「最高のチャンス」だと考えています。なぜなら、質問には、説明を成功に導くための、貴重なヒントが詰まっているからです。