「成熟産業でPERが低いからといって見限る必要はない」と藤井英敏氏は指摘
トランプ政権がベネズエラからグリーンランドに触手を伸ばすなど地政学リスクが高まり、高市早苗首相が突如、解散総選挙に踏み切って政局が混迷するなかでも、日経平均株価は最高値を更新するなど、日本株市場の活況が続いている。一方で、かつてない高値圏だからこそ、せっかく投資した銘柄が急落して“高値掴み”にならないよう細心の注意も必要となる。
それを防ぐには、やはり少しでも割安な銘柄に目をつけることが肝要だろう。そこで、「本当の割安株」を探るために、3年後の利益予想から見たPERを金融情報サービス会社・アイフィスジャパンに算出してもらった。同社は主要証券会社16社のアナリストによる業績予想をもとに算出した「IFISコンセンサス」を機関投資家のほか、個人投資家向けに「IFIS株予報」をYahoo!ファイナンスなどで提供。今回は、現在の株価が「3期先コンセンサス予想」に対して何倍になっているかを算出。PERの低い順にランキング化し、トップ100をまとめた。
ランキングについて、カブ知恵代表の藤井英敏氏は次のように分析する。
「自動車をはじめ不動産、電力、あるいは地銀の一角など成熟産業が目立ちます。やはりPERが低いのは、成長期待が乏しいから放置されている側面がある。何よりPERには(何倍以下なら割安といった)明確に絶対的な基準はなく、市場平均と比べて割安か割高かという相対評価でとらえたほうがいいと思います。
現在、日経平均株価のPERは19倍まで上がっていますが、少なくともそれ以下が望ましいし、さらに言えば業界や業種によって水準が異なります。たとえば市況に左右される海運や不動産といった業種は将来の予想が見えにくいのでPERが低くなる傾向があります。それを踏まえることが重要です」(以下、「」内コメントは藤井氏)
たとえば、2025年12月末時点の東証プライム市場の平均PERは18倍だが、業種別に見ると、成長性の高い業種である情報・通信業は24.4倍と高い。一方で、安定した収益はあるものの成長期待が少ない電気・ガス業は9.5倍、市況に左右されやすい海運業は5.3倍、不動産業は13.3倍などと低い傾向にある。
「もっとも、成熟産業でPERが低いからといって見限る必要はなく、成熟産業であれば安定的な収益がほぼ鉄板のように続く。電力会社などは高配当銘柄ですから、キャピタルゲイン(値上がり益)ではなく、配当などのインカムゲインを狙う安定重視の投資法に向いていると言えます。言い換えれば、ランキング上位に並んだ多くの銘柄が、守り重視の“ディフェンシブのど真ん中銘柄”です。なかにはもちろん守りだけでなく、たとえば電力会社はAI関連のデータセンター向けの電力需要の高まりに応じて収益の拡大が期待できるうえ、相場全体の株価上昇につれて株価水準が押し上げられることも見込まれるわけです」
ランキングトップ5をどう読むか
ランキングの上位5社は、いずれも3期先の利益予想で算出したPERが6倍未満と“超割安”な水準となっている。上位5社について、藤井氏は次のような見方を示す。
【プロフィール】
藤井英敏(ふじい・ひでとし):1965年生まれ。日興証券、フィスコを経て、カブ知恵代表に。個人投資家向けに各種レポートの作成・販売を行なう。
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