「1番組の制作コストで2倍の放送」
会見でも、フジが制作費を前年同期比で2割減と絞っていることを訊かれると、清水社長は「(2026年度も)基礎的な番組制作費については抑制的にやっていく」と語った。制作現場では経費削減の努力がされているという。別のフジ局員が語る。
「たとえば、毎週1時間のレギュラー番組であっても、前後にある1時間の別番組の放送時間まで使って2時間の拡大版を放送することで1番組の制作コストで2倍の放送をする──というやり方を多用しています。
さらに1か月に1回は、制作会社による予算が控えめな特番も挟んだりする。こうした方法で制作費は3割ほどカットできるので業績回復にも繋がっています。ただ、週1のレギュラー番組のはずが、実際には月に1回しか放送されないといったことも起きています」
社長の宣言通りの「抑制的」な番組制作は新生フジの涙ぐましい営業努力とも言えるが、番組制作の現場の嘆きもある。
「制作費削減の流れでレギュラー番組の放送回数が減ったり、そもそも出演者の人数を控えめにしたりすると、あおりを受けるのは番組の出演者たち。結果的に仕事が減ってしまうタレントが出てきているのです。そうした事態から昨年12月には芸能事務所の業界団体からフジに苦情がきたと聞いています」(同前)
フジテレビに黒字転換や制作費削減に関する質問をすると、「引き続き、信頼回復への取り組みを真摯に続けていくとともに、事業の改革、成長につなげる取り組みを全社を挙げて加速していきたいと考えております。
費用を含めた制作の詳細についてはお答えしておりません。より良質のコンテンツ制作のため、ステークホルダーの皆様とは日頃からコミュニケーションをとらせていただいております」(企業広報部)などと回答した。
“楽しくなければテレビじゃない”からの脱却を目指すフジだが、制作現場はその過程を楽しめているのか。
※週刊ポスト2026年2月20日号