想定以上の売れ行きだという「ラブクロム」ゴールドシリーズ(写真は同社提供)
Z世代のあいだで、高価格帯のコーム(櫛)が静かなブームを呼んでいる。なかでも、タレントの田中みな実をはじめ、指原莉乃やモデルの「めるる」こと生見愛瑠ら、美容意識の高い女性芸能人が愛用を公言し、広く支持を得るのが「ラブクロム」シリーズだ。
Nomde BeautyがZ世代を対象に実施した「2025年ベストコスメ」調査でも高い支持を集めた「ラブクロム」は、発売から15周年を迎えるコームブームのパイオニア。今は海外の高級百貨店にも取り扱いがあるコームは、素材や形状によって4000円台~3万円台と、幅広い価格帯で、高級路線で展開している。コームというだけなら古来より存在し、誰しも馴染みのあるアイテムだろうが、他社のコームと何が違うのか。「ラブクロム」を展開する株式会社YC.Primarily(ワイシー・プライマリー)の代表取締役会長・下島千穂氏に話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む】
産後の髪の悩みから生まれた「ラブクロム」
表参道にある「ラブクロム」直営店。ヘアケア商品販売のほか、カフェと美容室を併設する(写真は同社提供)
「ラブクロム」誕生の背景には、下島氏自身の原体験があるという。
「産前産後はホルモンバランスの乱れで、髪にも変化が生じるもの。実際、自分が第一子を出産して仕事に復帰したとき、リラクゼーションや美に関わる仕事をしているのに、自分の髪はパサつき、ボサボサでひどい状態だったのが悩みでした。その姿を自分で見て、髪が美しくないと、『ファッションは成立しない』と痛感。その頃、美容師の友人に『髪の毛ちゃんととかしている? まず、梳かして整えることが大事だよ』と言われたことが、アイテム開発のきっかけです」(下島氏、以下同)
さらに東日本大震災の経験が、ブランド誕生を後押ししたという。
「電気も電池も使わず、人を笑顔にできるものを作りたい、本質的に良いものを届けたいとの思うようになりました。そんな思いが重なって、義父の工場の協力を受けて、本格的な開発へと動き出しました」
“髪を梳かす”というシンプルな行為が、人の気持ちを前向きにする。その可能性に、下島氏は希望を見出した。

