高市自民大勝で不動産マーケットが少し荒れる可能性も(時事通信フォト)
注目を集める都心部の不動産価格上昇。一方で、高市政権誕生後の長期金利の上昇が不動産市場にはマイナスにはたらくのではという見方もある。2月8日投開票の総選挙では高市早苗首相率いる自民党が316議席を獲得する大勝となったが、どのような影響が考えられるのか。不動産事業プロデューサーで、『街間格差』(中公新書)の著者・牧野知弘氏(オラガ総研代表)に聞いた。
今回の選挙戦では、自民党や複数の野党が食料品の消費税減税に言及した。それを踏まえて牧野氏は次のような見方をする。
「選挙向けメッセージがあまりに多いので読み解きが難しい部分があり、高市首相もどこまで本気で消費税減税をやるつもりなのかは見通しにくい。ただ、与野党が消費税減税に言及した以上、それが実行される見通しだと受け止められ、そういうアナウンスメントは選挙期間中から世界の金融マーケットの厳しい目線に晒されました。
要はその財源どうするかという話になった時、 国債大量発行が懸念されるわけです。大量発行によって国債価格が下落し、40年物国債の利回りは初めて4%の大台に乗せました。不動産市場にとっては調達コストの負担が増して、不動産投資のゲームから退場する人が出てくる。自らの居住用として住宅ローンを借りて買いたい人も、せっかく物件価格が下がっても調達金利が高くなりすぎると借り入れに躊躇する。
マーケットというのは面白いもので、下落が激しいとみんながウォッチに入るんですね。もっと下がるかもしれないっていう“逆期待感”みたいなものが生まれる。そういった意味では、与党の大勝によって不動産のマーケットが少し荒れる可能性はありますね」(以下、「」内コメントは牧野氏)
政策実行の見通しに長期金利がどう反応するか
今後の動向も注視する必要があるという。
「自民党内には消費税減税に後ろ向きな人たちもいますし、高市首相は選挙に勝った後に消費税減税の実行に移すとは限らないと思います。そうした政策実行の見通しに、長期金利がどう反応するかを注視する必要があるでしょう。また、参政党など、外国人への規制強化を訴える勢力があり、こちらはやり方次第で海外からの投資マネーの流入が止まる可能性があります」
不動産市場に影響を及ぼす要素が様々考えられるなか、住まい探しも難しい局面だ。東京都区部においても近い将来、人口減少の波が訪れると考えられるなか、一般的な所得層にとって手が出る水準のエリアにおいても地価の伸びが期待できるエリアと、空き住居が増えていくエリアに分かれていくことが予想されるという。牧野氏はそれを「街間格差」と表現するが、具体的にどういった街が伸び、どの街が沈むのか。関連記事では住環境の優れたエリアを含む板橋区、北区、荒川区について、街の具体名を挙げながら牧野氏が詳しく解説している。
【プロフィール】
牧野知弘(まきの・ともひろ)/東京大学経済学部卒業。ボストンコンサルティンググループなどを経て、三井不動産に勤務。その後、J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在は、オラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『街間格差』(中公新書)などがある。
