近い将来、東京圏での事務職採用は熾烈な競争に(イメージ)
1月26日に経済産業省が公表した最新の推計が波紋を広げている。人口減少が続き、人手不足が拡大している日本において、職種・学歴・地域によっては“人余り”が起きる可能性もあるという。人口減少対策総合研究所理事長の河合雅司氏は、安易に外国人労働者への依存を大きくするのではなく、労働需要のミスマッチの解消を急ぐべきだと警鐘を鳴らす。【前後編の後編。前編記事から読む】
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経済産業省が公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」によれば、労働需要のミスマッチは3つのフェーズ──職種間、学歴間、地域間で生じると予測している。前編記事では、職種間と学歴間のミスマッチについて解説したが、ここでは3つめのミスマッチである「地域間」について取り上げよう。
東京圏(東京都と神奈川、埼玉、千葉の3県)においては「AIロボット人材」、「現場人材」、「事務職」をはじめすべての分野で余剰になるとしている。ミスマッチ数を合計すると193万人で、その大半は「事務職」が占める。今後、東京圏で「事務職」に就こうと思えば、かなり熾烈な競争に勝たねばならないということだ。
「事務職」に限らず、東京圏においては「思う仕事に就けるとは限らない」という人が徐々に増えていくだろう。これまで「希望する仕事」を求めて上京する人が少なくなく、それが東京一極集中の要因の1つとなってきたが、こうした流れも変わるかもしれない。
一方、東京圏以外の各地域は「事務職」こそ余剰となるものの、「AIロボット人材」と「現場人材」は充当できないと予測している。とりわけ厳しい状況となりそうなのが、東京圏を除く関東、九州、東北、近畿である。
「地域間」のミスマッチを学歴別の内訳で見ると大学院卒、大学卒、高等専門学校卒、工業科高校卒を合わせた理系人材は、東京圏を含むすべての地域で不足する見通しだ。このうちミスマッチによる不足幅が一番大きくなるのは、東京圏を除く関東で49万人だ。続いて、近畿で39万人、九州で31万人、東北27万人である。
東京圏を除く関東、北海道、東北、九州に関しては理系人材だけでなく、文系人材も不足する。なお、東京圏に関しては理系人材が24万人不足する一方、文系人材は110万人の余剰が生じるとしている。
地域別ミスマッチを見ると東京圏の事務職の余剰が顕著(経済産業省「2040年の就業構造推計(改訂版)」より)
これら地域ごとのミスマッチ数の推計結果は、地方の中小企業や地場産業が今後苦境に立たされることを明確にするものだ。この先、「AIロボット人材」の争奪戦に勝てない地方の企業はAI化の流れから取り残され、競争力の低下のみならず経営そのものが危ぶまれかねないからである。

