「人の倍努力する」ことが“正解”なのか
起業家や大企業で出世した人の多くは、寝る間も惜しんで働けとか、人の倍努力しろといった表現をよく使う。
そもそも起業して会社を売却しようとか、出世レースで勝つことを目指している人は、はなから競争願望やモチベーションが高く、寝ないで働くことができる体力があるからそういった発想になるのかもしれない。実際のところ徹夜すると、人の認知能力は泥酔時なみに低くなるのだが、彼らにそんなことを言っても耳を貸さないだろう。
彼らのようなスーパーマンはともかく、ごくごく普通の私たちにとって、寝ないで働くとか文字通り人の倍努力するというのは、必ずしも効果的な選択ではない。そのため、戦略的に休息を取って回復することは、高いパフォーマンスを出すために不可欠だ。
疲れて頭がぼーっとしていたら、せっかくの新しい体験も満足に活かしきれないし、何よりも目の前のことしか見えなくなる。視野が狭くなるので多面的に物事が見えなくなり、抽象的なことを考えたり、大量の情報を処理したりする力が落ちる。情報処理のキャパが下がれば、新しいことを吸収することも難しくなるだろう。ただただ眼前のことを処理することに追われ、時間が過ぎ去り、長い目で見るとあまり成長していないなんてことになりかねない。
ビジネスパーソンの多くは慢性的なオーバーワークに陥っているように見える。
常に働いていることが常態化してしまって、やっている仕事の一つ一つが効果的なのか、生産性が高いのかどうか検証すらしていないように見える。つまり、効果的に仕事をすることよりも、仕事をしていること自体が目的化してしまっている。
そのようなオーバーワーク状態で、何か新しい体験に没頭したり新しいことを効果的に学べたりするのか、一度自分自身に問いかけてみて欲しい。自分自身が信用できなければ、流行りのAIツールに聞いてみても良いだろう。
人間の集中力は長い時間持続しないし、疲労を感じればパフォーマンスは劇的に下がる。そんな状態で何か高いパフォーマンスを上げるというのは、ほとんどの人にとって無理な話だ。最低でも1時間に1回は小休憩を入れるといったことを意識して行う必要がある。
何度も言うが、休憩しないで何時間も最高の集中力を発揮することは、普通の人間には無理だ。精神論でどうにかなる話ではない。あなたが超人でないなら休息の重要性を真剣に捉え、休息を戦略的に日々の生活に導入することが理にかなっている。
実際に、どの程度の頻度で休息を入れるのが良いか実験してみるのが良いだろう。30分ごとかもしれないし、1時間ごとかもしれない。休憩頻度は自由に決めれば良いが、何時間も最高の集中力を維持できるという高望みはしないことだ。そして休息をする際は、全力で休息しよう。休息していると言いつつ、ダラダラ何かを続けているような状態ではなく、身も心もリセットするつもりで休息するのだ。
大切なのは完全に切り替えるということだ。
※長谷川雅彬著『君は体験に投資してるか』(株式会社クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋・再構成。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
長谷川雅彬(はせがわ・まさあき)/アーティスト、実業家。スペイン在住。立教大学生時代、猛勉強するも海外大学院への進学に失敗。卒業後、大和証券金融証券研究所に投資ストラテジストとして勤務しながら、3カ月でTOEFL iBTで100点超えを達成し、のちにスペインの大学院への進学を実現。30歳までに英語・スペイン語・日本語の3カ国語での執筆と出版を果たす。独学でアートを始め、マドリッドに1927平方メートルの作品を作成したほか、スペインのMaria LafuenteとコラボしMadrid Fashion Weekで3シーズンにわたり作品を発表。自身が立ち上げた創造性開発コースは世界149カ国に1万人以上の受講生を持つ。柔術の世界的な団体であるADCC Spainでスペイン国内チャンピオンとなる。現在は4カ国語でビジネスを行っている。