オーバーワーク状態で、高いパフォーマンスは発揮できない(イメージ)
「日本人は働きすぎだ」「欧米では1か月の夏休みを取っている」。海外経験のある人の話を聞きつつ、「それは向こうの話だ」と距離を置きながらも、どこか羨ましさを覚えたことはないだろうか。ヨーロッパを拠点にアーティスト・実業家として活動する長谷川雅彬氏は、こうした違いを文化や根性論ではなく、「戦術と戦略の差」だと捉える。目先の頑張りに頼る働き方は、やがて時間や体力の消耗戦に陥る。だからこそ、凡人が取るべきなのは戦術ではなく、長く回り続ける戦略だという。
では、休息を組み込むことで本当にパフォーマンスが上がるのだろうか。視点を少し変えるだけで、仕事や成果の見え方は変わるのかもしれない。長谷川雅彬氏の著書『君は体験に投資してるか』より一部抜粋・再構成して紹介する。【全3回の第3回】
欧州で最も休暇を取る国の「戦略的休息」
学生の時、ドイツの現地企業でインターンシップをした時のことだ。
私の担当であった上司に、就業時間は何時から何時までかを尋ねた。すると、自分の仕事なのだから自分で決めてくれと言われ、衝撃を受けたことを未だに思い出す。
プロジェクトを通して何をすれば良いかは決まっているのだから、自分の仕事は自分で管理するのだと教わった瞬間だ。実際に朝遅くに来る人もいれば午後早くに帰宅してしまう人もいた。効果のない仕事や会議を量産しないために、本当に必要なことは何かをかなり厳密に精査していたことが印象的であった。
コロナ禍でリモートワーク等が一般的になった今では、柔軟な働き方を提供する会社も増えたが、これは20年近くも前の話だ。
あまり知られていないが、ドイツはヨーロッパで最も休暇を取る国の一つだ。
まるまる1か月夏休みを取るというのも珍しくない。リゾート地として有名なスペインのマヨルカ島は6月から9月の間、ドイツにいるのかと感じるほどドイツ人だらけだ。ドイツ人の知人の多くも、夏は数週間バカンスに出掛けてしまう。日本だったら社会人で夏休みを1週間以上取っている人を見つけることすら困難だろう。
にもかかわらず、人口が1.5倍の日本をGDP(国内総生産)で2023年に抜いてしまった。一人当たりGDPでもドイツの方が高く、時間当たりの生産性に至っては日本の2倍近くあるというデータもある。よく休むドイツ人と働いてばかりの日本人。本当に生産的なのはどちらかは明らかだろう。
