しかし、実際にはいくつもの関門があります。まず実家のスギの花粉が原因で花粉症を発症したことが大前提ですが、その証明は難しいでしょう。なぜなら花粉症を引き起こすのは大気中に飛散しているスギ花粉ですが、実家のスギが隣人の花粉症を幾分か助長しているとしても、花粉の大半は山林から飛散した花粉だと思われるからです。
実家のスギの花粉が異常に大量・高濃度であることや、周囲の住民がこぞって重い花粉症になっているのに、実家のスギから離れた場所では花粉症患者がいないといった特異な事実がない限り、隣人の花粉症の原因があなたの実家のスギで、それらを伐採すれば花粉症にならないということを証明できないでしょう。
もっとも、花粉症の重症度には影響があるかもしれません。その場合でも、実家のスギだけが原因とは言えず、患者の個人的条件もあって発症しているはずです。気の毒ですが、花粉症は季節的なもので、眼鏡やマスクなどの自衛手段もあります。以前から生育しているスギをがまんするのは、社会共同生活での受忍限度の範囲内だと思います。
とはいえ隣人との関係も大切です。両親がスギを伐採してよいという考えに変われば、「その義務はないが費用を出してもらえば伐採する」と譲歩するような選択肢もあるでしょう。
※女性セブン2026年4月16・23日号