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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「レシートのチップ欄には罵詈雑言とゼロ」「20ドルを自腹で上納」…アメリカの飲食店従業員を悩ませる、チップ文化の“光と影”

客の怒りのコメントともにチップの欄に「0」と記入されたレシート(redditより)

客の怒りのコメントともにチップの欄に「0」と記入されたレシート(redditより)

客がこれみよがしにチップ欄に「0」と記入

 他にも一晩で500ドル稼いだ、などといった景気の良い報告も散見され、日本人の感覚としては円換算したうえで「その程度の時間の労働でそれだけ稼げて、なんと羨ましいことか!」と思う。とはいえ、光があるところには影もある。おいしい面ばかりでなく、苦悩や葛藤も投稿されがちである。いくつか紹介してみよう。

「バーのサーバー(給仕担当)とバーテンダーの時給は12.14ドルで、『クレジットカードの手数料として、チップの3%を差し引く』と言われました。その状況があったうえで、他のサーバーから『厨房スタッフにチップの20%分配しなければならない』と言われているという話を聞きました。ところが、調理担当に話を聞いたら、彼の時給は22.50ドルで、『自分たちがチップを分けてもらえるなんて話は全く知らない』と言う。これって違法では? 私はどうすればいいでしょうか?」

「レシートをきちんと見ない客は、店からすでに20%のサービス料をつけられていることを知らない。私はそのことを伝えます。でも、同僚はそれを客に言わず、平然とチップをもらっています。それも、2倍ぐらいの額で。これって誠実だと思えません。どう思いますか?」

 実際のレシートの画像が公開されることも多いが、手書きでチップの額を書く欄に「0」と書いたうえで「売春婦!」と罵りの言葉を書かれたと報告する人もいる。客がこれみよがしに「満足していない」の気持ちを「0」で書くうえに、罵詈雑言を浴びせてくるケースもあるのだ。

飲食店従業員「私が20ドル自腹で払うのか?」

 寿司屋で働いているある店員は、もらったチップの中から、売上の8%分を店に上納しなくててはいけない、と嘆く。ある時、5つのテーブルで558ドルの売上を獲得したが、各テーブルからのチップは5ドルずつだった。合計25ドルだ。にもかかわらず、売上の8%分である45ドルを店に渡さなくてはならない。「これでは私が20ドル自腹を切ってるではないか!」と嘆く。

 アメリカのチップ制度では、それによりおいしい思いをする従業員も存在するだろうが、苦労を強いられている人も案外多いことも垣間見える。経営側に問題があるケースだけでなく、一部の強欲な従業員や態度の悪い客など、様々なファクターが絡み合って不満が生じるわけである。

 そう考えると、チップを巡る議論で日本人が「日本の従業員さんはチップなしであんなに感じがいいのが素晴らしい」としみじみと書くのも「わかるよわかるよ」と言いたくなる。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は稲熊均氏との共著『ウソは真実の6倍の速さで拡散する』(中日新聞社)。

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