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キャリア

「実は書くことよりも得意なことがあります」プロのコピーライターが日々磨いている大切な技術とは

「キャッチフレーズ」を考えるために必要なこと

 ところで「キャッチフレーズ」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。身近なところだと、テレビ番組で出演者を印象的に紹介するときによく使われたりしています。もしかしたら、就職活動のときに自分にキャッチフレーズをつけて面接に臨むといい、とアドバイスを受けた人もいるかもしれません。他にも、人だけでなく、モノや場所など、ある対象の魅力を、一言でキャッチーに言い当てた言葉。それがキャッチフレーズです。

 ここで、ちょっと想像してみてください。あなたが街を歩いていたら、全く知らない人に声をかけられたとします。その人は、あなたに向かって次のようにお願いしてきます。

「すみません、私にキャッチフレーズをつけてもらえませんか?」

 もしそんな状況になったら、無視して足早に立ち去る人が実際はほとんどだと思いますが、うっかりあなたが立ち止まってしまったとしたら、まずは何と答えるでしょうか?

「いや、そもそも私、あなたのこと全く知りませんので」

 まあ、そうですよね。当然です。では、あなたの親友に同じことをお願いされたらどうでしょう?

「キャッチフレーズかぁ…何がいいかなぁ…?」

 そう答えながら、きっと頭の中では、こんなことを考えているはずです。

(そういえば、この親友の魅力って何だろう?)

 つまり、「キャッチフレーズを考えることは、相手のいいところを考えること」でもあるのです。見ず知らずの他人だと、その人のいいところをそもそも知らない。

 だから、考えようがない。でも親友なら、これまでの関係から何かしらのいいところは知っているはず。だから、考える手がかりはありそうだ。きっとそう感じるはずです。

 実は、その感覚、コピーライターも全く同じです。

 キャッチフレーズを考えることは、その企業や商品のいいところを考えること。私たちは365日、担当する企業や商品を徹底的に観察し、いろんな視点からその魅力を発見する作業をひたすら続けています。つまり、コピーライターは、コピーを書くプロであることはもちろん、次のように言えると私は思います。

●コピーライターは、いいところを見つけるプロである。

 コピーライターはそのために、企業や商品の「いいところを見つける技術」を、日々磨いているわけです。こんな話をすると、「いいところを見つけるって、そもそも技術なの?」と思われるかもしれません。いいところなんて、もっと感覚的にわかるものだったりするのでは? そんな声が聞こえてきそうです。

 それでは、ここでひとつ質問をしたいと思います。まず、あなたにとっての大切な人をひとり思い浮かべてみてください。子どもでも、パートナーでも、親友でも、職場の同僚でも構いません。ひとり思い浮かべてもらったら、その人のいいところを言葉にしてみてください。

「やさしい」「思いやりがある」「頼りになる」「笑顔が素敵」

 もし頭の中にこんな言葉が浮かんだとしたら、ここでちょっと考えてみてください。いま並べた言葉は、たしかに、あなたの大切な人のいいところかもしれません。ですが、「あなたの大切な人だから言える独自のいいところ」でしょうか? 他の人にも簡単に当てはまってしまうありきたりな内容になっていないでしょうか?

 こう考えると、独自のいいところを見つけるって、簡単そうで、実は難しい。コピーライターはキャッチフレーズを考える際に、「そのキャッチフレーズは、どの企業や商品でも言えるものになっていないか?」という点をいつも意識します。端的に言うと、「ありきたりのキャッチフレーズになっていないか」ということなのですが、コピーライターは自分の書いたコピーを見直したり、選定したりする際にも、そのポイントを必ずチェックするようにしています。他の企業や商品では言えないこと=その企業や商品の独自性になるからです。

※荒木俊哉・著『言語化は「ありきたりの言葉」でうまくいく。』を元に一部抜粋して再構成

【プロフィール】
荒木俊哉(あらき・しゅんや)/1980 年宮崎県生まれ。一橋大学卒業後、2005年に電通に入社。営業局の配属を経てクリエーティブ局にてコピーライターとして活躍。これまで手掛けたプロジェクトの数は100以上、活動は5大陸20か国以上にのぼる。世界三大広告賞のうちCannes LionsとThe One Showのダブル入賞をはじめ、ACC賞、TCC新人賞、日経広告賞、読売広告大賞、毎日広告デザイン賞など、国内外で20以上のアワードを獲得。広告以外にも、国際的ビッグイベントのコンセプトプランニングや、企業のミッション・ビジョン・バリュー策定のサポートを行う。一橋大学で広告のゼミも担当。著書に『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)、『こうやって頭のなかを言語化する。』(PHP研究所)、『頭の中がどんどん言葉になる 瞬間言語化トレーニング』(SBクリエイティブ)、『聞き出せる人が、うまくいく。』(祥伝社)がある。

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