しかし、自動車には人格権がなく、一般的に撮影を禁じる法律上の根拠はありません。もっとも物であっても、その撮影を禁止し、違反した者に対して撮影データの消去や退去を求められることがあります。例えば、当該物の撮影が物理的に可能な施設だった場合、管理者が管理行為として撮影禁止を求め、その撮影禁止を承知の上、施設に立ち入った者との間で、撮影しないことの合意が成立している場合であれば、管理者が違反者に対し、退去などの対応を求めるのは理に適っています。
あなたが車をガレージ内などで駐車していれば、そこに撮影禁止や違反者への対応を掲示することで、同様の効果を期待できます。
ただし、道路上の車や誰でも立ち入れる場所から丸見えの車の写真撮影を制約することはできません。もちろん、その場合でも寄りかかったり、無断でボンネットに腰掛けたりすることは他人が所有する車を利用することになりますから、持ち主の承諾が必要となります。なので、その都度、注意をするか、車に禁止事項の標識を貼付することが考えられます。
他に外国人への注意で危害を受けそうな不安があれば、事前に警察に事情を説明し、対策を相談しておくのも手立てのひとつです。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2026年7月10日号