過去最高益の企業が続出する一方で…(イラスト/井川泰年)
3メガバンクや総合商社が過去最高益を記録する一方で、物価上昇に苦しんでいる家計は少なくない。なぜ企業業績が好調にもかかわらず、消費者に還元されないのか。経営コンサルタントの大前研一氏が解き明かす。
過去最高益を記録した3メガバンク
「銀行は稼ぎすぎ」――そんな批判が出ている。
2026年3月期決算で3メガバンクがすべて過去最高益を記録し、純利益の合計は前期比33.9%増の5兆2588億円で初めて5兆円を超えた。最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループは2兆4272億円で初めて2兆円を超え、みずほフィナンシャルグループは1兆2486億円で初めて1兆円台に乗った。3メガバンクそろって1兆円を超えるのも初めてで、2027年3月期も最高益を見込んでいるという。
また、地方銀行97行の2026年3月期決算も、純利益の合計が前年比4956億円(37.9%)増の1兆8043億円だった。
なぜ、これほど銀行が儲かっているのか? 日本銀行の利上げで貸し出しによる利ざや(預金金利と貸出金利の差)が拡大したからだ。日銀は6月の金融政策決定会合で政策金利の誘導目標を0.75%程度から1%程度に引き上げることを決めた。政策金利は約31年ぶりの高水準となり、銀行はますます利益が伸びる。
日本経済新聞(5月16日付)によれば、今回の利上げにより3メガ合計で3000億円以上も利益が膨らむ見通しだという。朝日新聞(6月9日付)では、ある大手銀行の関係者が「財政不安にならない範囲で、金利はべらぼうに上がってほしい」とコメントしているが、預金者には利上げの恩恵を還元していない。
実際、預金金利は未だに“雀の涙”である。現在、3メガの預金金利は横並びで、普通預金が0.3%、定期預金は0.4%(1年)~0.9%(10年)でしかない。ゆうちょ銀行も同様だ。バブル崩壊後、1989年時点で13行あった都市銀行は「Too big to fail」(大きすぎて潰せない)ということで、3メガとりそな銀行の4行に集約された(北海道拓殖銀行は経営破綻)。この寡占状態によって利益を独占し、預金金利は横並びという事実上のカルテルになっているのだ。アイスクリームメーカー6社のカルテルより、こちらのほうが、よほど問題だろう。
