故意に狙ったのでは…(イラスト/大野文彰)
スポーツをしている時に、アクシデントでけがを負ってしまうことは珍しくないが、それが“故意にけがを負わせるようなプレー”によるものだとしたら、どうだろう。もしも対戦相手による故意のプレーでけがをしてしまった場合、相手側に治療費を請求することはできるのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
趣味のテニスサークルでプレー中、Aさんのスマッシュしたボールが私の顔面に当たり、医師から「少しズレていたら失明していた」と言われました。
通常、プレー中の多少のけがは「お互いさま」「自己責任」としていますが、私はAさんに嫌われているので、故意に顔を狙ったのだと思います。治療費や慰謝料を請求することはできますか。(神奈川県・46才・主婦)
【回答】
スポーツでプレー(加害プレー)の結果で起きた事故の責任を問うためには、「加害プレーヤーが故意または過失で加害プレーをしたこと(不法行為)」が条件となります。過失は、加害プレーによって事故発生が予見可能であって、加害プレーを回避できた場合に認められます。もっともそこでは回避すべき義務が前提になっています。
スポーツで通常予想されるプレーによって事故が発生しても、そのプレーをしてはならない義務がなければ、被害プレーヤーもそのリスクを承知して試合をしているので、違法性がないという考え方があります。
事故を起こすことがあっても、そのプレーが許容され、回避する義務がない場合にはそもそも過失ではないとも言えます。プレー自体に故意があっても同様ですが、けがをさせる目的でプレーすることは許されないので不法行為になります。
