“バズらなそう”で契約打ち切り
かつては「憧れの存在」だった先輩の背中を追いつつも、「その暮らしぶりを目の当たりにして不安が募っていくようになった」と語る男性もいる。
都内在住の会社員男性・Bさん(27歳)は、現在もIT系の仕事をしながらバンド活動を続けている。
「すごく演奏がうまい先輩がいて、ある有名バンドのサポートをするくらいの腕前なんです。彼のバンドはフェスに出演した経験もありますし、一定数のファンはいるので200人キャパくらいのライブハウスなら埋まる。でも、先輩を見ていると、『これだけうまくても売れないんだ……』と思うし、自分の未来を見ているようで怖くなります」(Bさん)
Bさんは、「音楽の聴かれ方が変わった」ことで、多くのバンドマンが苦労しているのではないか、と分析する。
「今って、曲がよくても、それだけじゃ難しい。SNS、とくにTikTokでバズるとか、かわいい女性ボーカルがいるとか、何かしらきっかけがないとダメ。昔はライブハウスで評判が広がれば人気が出たけど、今はまずSNSで見つけてもらう方法をみんな模索しています。
自分のバンドも、一時はあるレーベルの育成枠として支援を受けていましたが、あるとき契約を切られました。多分、“バズらなそう”と思われたんじゃないですかね……。僕も今付き合っている彼女との将来を考える気持ちはありますけど、当然、結婚資金もないですし、このままどう人生の舵を切ればいいのか、不安ではあります」(同前)
それでも、ライブハウスに行けば同じような仲間がいる。
「ライブハウス周りの友達と飲んで、オールしているときは現実を忘れられるんですよ。でも家に帰ると、『こいつらと一生一緒にいられるわけじゃない』『やっぱり実社会と価値観がずれているかも……』と急に冷静になって、落ち込むことも多いです」(同前)
売れない現実が見えていても、長く続けてきたバンドを簡単に手放すことはできない。その反面、20代後半になると就職や結婚といった選択も現実味を帯びてくる。【後編】では、バンドをやめたという元バンドマンたちに、彼らの就職・結婚事情について話を聞いた。
▼▼▼後編▼▼▼
【つづきを読む→】就職・結婚…売れないバンドマンたちが20代後半で直面する“人生の大きな分岐点”「学歴があってよかった」