AIが業績を牽引するハイテク企業へとアリババグループの事業構造が大きく転換している(Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。中国の大手IT企業・阿里巴巴集団(アリババグループ。NYSE・BABA。香港・9988)の事業構造の変化について、その業績推移の中身を読み解きレポートする。
9%増収、75%減益の4-6月期業績の中身
アリババ集団が8月20日大引け後に発表した2026年4-6月期業績は9%増収ながら、75%減益であった。越境EC(アリエクスプレス)に対するEUデジタルサービス法違反による罰金5億5000万ユーロ(1023億円、1ユーロ=186円)、子会社(阿里健康、大文娯、高徳など)の業績悪化(AIなどの投資先行)によるのれん減損損失44億5800万元(1025億円、1元=23円)の発生、製品開発費の急増(50%増、75億2500万元(1731億円)増加)などが業績の足を引っ張った。21日の株価は、ハンセン指数が1.21%上昇する中、2.54%下落した。
しかし、この決算内容を詳しく読み解いてみると、重要な変化が起きていることが確認できる。AIクラウドコンピューティングサービス部門が45%増の484億3700万元(1兆1141億円)と急拡大しているが、この内AI絡みの製品は構成比で26%に当たる123億7600万元(2846億円)に達しており、12四半期連続で100%を超える伸び率となっている。
AI絡みの製品について、中身を少し具体的に説明しておくと、まず、Qwenシリーズの大規模言語モデル、画像・音声・動画生成モデルのAPI(Application Programming Interface:外部のアプリケーション、機能の利用をリクエストする技術)提供が挙げられる。世界中の開発者、企業にダウンロードされて利用されている。
また、クラウド上でAIモデルの利用を可能にし、企業が必要に応じてAPI経由で推論処理を呼び出せるようにするサービス(Model as a Service)、ユーザーが独自のAIを開発・運用するためのクラウドコンピューティング環境や、AIエージェントを構成するためのプラットフォーム(Qwen Workなど)、自動運転、金融分野などで使われる半導体製造子会社「平頭哥」が開発したAIプロセッサ(AI向けの計算を高速かつ省電力で行うために最適化された専用チップ)「真武」シリーズの利用サービスをアリババクラウドを経由してユーザーに提供するサービス、企業の業務効率を上げるためのAIネイティブなワークプラットフォーム「悟空」やAIオフィスツール「千問弁公」といった業務アプリケーションなど。
これらを一言でまとめて表現すれば「ユーザーが同社のAIモデル、AIインフラ、AIチップを使ってビジネスを行うためのサービス」である。
