仕事内容も様々(左から勝栄二郎氏、木下康司氏/ホームページより)
相次いだ官僚不祥事により規制が強化され、「天下り冬の時代」と呼ばれたのも今は昔。企業経営において重要度を増す社外取締役ポストが、高級官僚の再就職の受け皿となっている。なかでも目立つのが財務省OB・OGたちだ。東証プライム上場企業を調査すると、財務事務次官や国税庁長官経験者ら、58人の財務省有力OB・OGたちが70社の社外取締役に就任していることが判明した。
「安心できるし、箔が付く」
本誌『週刊ポスト』は、東証プライム上場企業の社外取締役を務める財務省OBの掛け持ち状況を含めた推定報酬を試算し、ランキング表にまとめた。この「報酬ランキング」によると1位の鈴木正規氏は財務省エリートコースの総括審議官から環境事務次官を務めた人物で、退官後はイオン銀行会長やイオンフィナンシャルサービス会長、イオン執行役などを歴任し、現在はイオン環境財団理事の他に、キヤノンなど3社の社外取締役で年間報酬合計は推定4123万円だ。
2位は財務官僚から金融庁に転じ、金融庁長官に次ぐ次官級の金融国際審議官を務めた天谷知子氏。現在はJR東日本(東日本旅客鉄道)と川崎重工業という大手2社の社外取締役で報酬合計は推定3325万円だ。
3位は「ミスター消費税」と呼ばれた元財務事務次官・勝栄二郎氏。野田政権時代に消費税率10%への引き上げの道筋をつけた。退官後は通信事業者IIJ(インターネットイニシアティブ)の社長、読売新聞東京本社監査役などを歴任、現在はANAホールディングスと日本テレビホールディングスの社外取締役を兼ねる。2社の推定報酬合計は3044万円だ。
ANAホールディングス広報部は「行政官としての高い見識やICT業界における企業経営者としての豊富な経験」などを活かした監督・助言に期待して選任したと回答した。勝氏は東大在学中に司法試験に合格しており、今年弁護士登録もした。
「3位までで見れば、財務次官を務めた勝氏が一番大物に見えるが、企業側にとってみると、元財務省幹部が社外取締役にいるというだけで安心できるし、箔が付く。つまり、天下り先の数や報酬額と、最終官歴はあまり関係ないとも言えます」(金融ジャーナリスト)
