*12:44JST 船場 Research Memo(4):調査・分析から運営まで空間創造を一気通貫で支援。高付加価値案件に強み(2)
■事業概要
4. 「専門店」分野
「専門店」分野は、物販専門店・飲食店・サービス専門店等を対象としており、主にチェーン店が顧客となるが案件規模は相対的に小さい。歴史のある分野であり、当初はアパレルなどの小売り店舗が中心であったが、現在ではサービス業・飲食業なども多くなっている。プロジェクト期間は3ヶ月程度である。業績はコロナ禍で低下したものの、その後、緩やかな回復傾向にある。上昇カーブはやや鈍いものの、船場<6540>が得意とするラグジュアリーで快適な空間を志向する顧客企業の案件が増えている。直近の事例として、ニューヨーク発祥の名店「ウルフギャング・ステーキハウス高輪店」の内装デザイン・設計、制作・施工を担当した。2025年12月期の売上高は10,471百万円で、2026年12月期中間期は好調だった前年同期の4,786百万円には及ばないものの、4,351百万円と専門店案件を堅調に獲得した。
5. 「大型店・複合商業施設」分野
「大型店・複合商業施設」分野は、百貨店・量販店・商業ビル・ショッピングセンター等を対象としており、売上構成比が高い分野である。コロナ禍で業績は落ち込んだものの、2021年12月期を底に2024年12月期には13,057百万円まで回復し、2025年12月期の売上高は12,048百万円と減収で着地したが、一定のボリュームを維持している。この分野では、イオングループ、三井不動産<8801>などの大手デベロッパーとの取引が大きい。大型案件においてはプロジェクト期間が半年から1年となる。2026年12月期中間期は、新規案件の数が少なく、上期の売上計上物件が限られたことで、4,561百万円(前年同期は6,637百万円)と減収となった。改装案件を中心に案件の積み上げを目指している。
6. 「オフィス・余暇施設等」分野
「オフィス・余暇施設等」分野はオフィス・ショールーム、ホテル、インフラ施設、教育施設等を対象としており、商業施設市場が落ち込んだコロナ禍後に展開が加速している。2025年12月期の売上高は10,311百万円で、2026年12月期中間期は6,198百万円(前年同期は4,303百万円)と伸長した。オフィス・ショールームは、人手不足が深刻化するなか、職場環境改善のニーズが高く、継続したマーケットの成長が期待される。ウェルビーイング・ホスピタリティは、インバウンド需要の高まりによる駅・空港等のインフラ施設やホテルの新改装等の堅調な需要が見込まれる。教育関連は学生の獲得に向けて施設の魅力向上や老朽化に伴う改装に機会がある。そのほか、ゴルフ場等の余暇施設の案件も手掛ける。直近の事例として、コクヨ<7984>の新本社 KOKUYO HQの空間創造に参画した。
7. 海外事業
海外事業は1980年代に香港に進出したのを皮切りに、アジアで実績を積み上げてきた。受注の増減は毎年あるものの、おおむね右肩上がりで業績が拡大している。2025年12月期の売上高は3,944百万円で、2026年12月期中間期も台湾の長期・大型開発案件の進捗などにより、1,958百万円(前年同期は1,722百万円)と増収となった。地域別では、台湾の売上規模が最大で、シンガポール、上海、ベトナム、マレーシアの5拠点で展開する。これまでは、日系企業の進出にあわせた海外進出が基本であったが、今後は現地企業向けの事業展開も拡大する見込みである。近年の事例としては、台北南港の新都心に開業した台北市初の「ららぽーと台北南港」で調査・MD企画・環境デザイン・施工まで一貫して担当した。
8. ディスプレイ業界でのベンチマーク
同社の業績について、ディスプレイ業界の中で売上規模、成長性、収益性を比較した。売上規模では総合的なプレーヤーである乃村工藝社<9716>や丹青社<9743>、スペース<9622>に差があるが、通期予想の前期比伸び率では同社が12.7%と、3社の3.3%、-0.2%、0.7%をしのぐ。この要因としては、オフィス分野などの成長分野に資源配分を絞り込めていること、大阪・関西万博の反動減の影響が相対的に少ないことなどが考えられる。また、売上高営業利益率(ROS)は6.4%で、3社の8.0%、7.5%、7.0%をやや下回るものの、遜色ない水準といえる。なお対象期は、乃村工藝社が2027年2月期、丹青社が2027年1月期、スペース及び同社が2026年12月期である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<HN>