角打ちをやっている渕田酒店
海外にはない「KAKUUCHI」のポテンシャル
さて、初めて角打ちを利用するにあたって、客はどのような点を意識しておくとよいでしょうか。「北九州角打ち文化研究会」が2012年に発行した「北九州文化 角打ちのすすめ」の中から、「知っておきたい角打ちの楽しみ方~酒飲みの流儀~」を要約しましょう。
「角打ちとは、『酒屋』で飲むことで、飲食業の『立ち飲み屋』ではないし、酒類販売業であり、飲食店としてのサービス業ではない。コップや箸等はあくまでも店のサービスだ。
長居はせず30~60分ほどで退出する。常連への配慮が重要。場所を取り過ぎぬよう少人数で来るべし。店主や他の客との付かず離れずの適度な距離でコミュニケーションを楽しもう。角打ちができる酒屋は地域の社交場なので、小粋でお洒落に酒を嗜む姿勢を忘れずに」
そのうえで「呑んべえとしての人間力」が試される場だと締めます。角打ちに関してですが、新宿のゴールデン街が外国人観光客の人気スポットになっているように、日本全国の酒屋さんが「KAKUUCHI」として、人気化するようなポテンシャルも感じます。私自身、これまで世界30か国ほどは行っていますが、酒屋でつまみを出してもらえるサービスなんて他の国で一度も経験したことがない。案外大きな産業、そしてこれからの酒屋が生き残るためには大事な業態になるのでは、と思う次第です。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』(鹿砦社)。
